02
「ただいま」
家に帰るといつもは見慣れない玄関に小さなローファーが並んでいた、俺はそのまま自分の部屋に向かう
「あっ、龍太おかえり、漫画借りてるよ」
は?
そこには、俺の部屋にもかかわらず、自分のベットのように寝転がって漫画を読んでいる七瀬がいた、最近は俺の部屋に来ることはなくなっていただからなんか新鮮だ
「今日、ここで飯食うの?」
「うん」
「なぁ、七瀬携帯の待ち受け何にしてる?」
俺はさっき聞いたことを思い出して足をばたばたさせながら漫画を読んでいる七瀬に聞いた
「え?やだ」
「いいから、見せろって」
七瀬は漫画を閉じてベットにそのまま置くと俺の顔をうかがう
「何かたくらんでるんでしょ」
「何もねーよ」
七瀬は明らかに警戒していてベットの上に乱暴に乗っていたスマホを両手で胸の前に持って行ってつかんでいる
「じゃー見ないから教えろよ」
「しょうがないなー、龍太
待ち受けは亮平だよ」
「亮平って普通じゃねーか、なんで見せられないんだよ」
「知らないの?今流行ってるんだよ好きな人の顔を待ち受けにして、寝る前に毎日見ると願いが叶うって」
「へぇー」
「それでね、その待ち受けの中でも寝顔は
効果アップするらしいの」
寝顔?
俺はさっきのことを思い出していた
寝顔の待ち受けで願いが叶うなんて、もしかして奈々未も?
いやいや、ありえない
奈々未が俺のことを……そんなわけない
でも確かめようとも奈々未に真実を聞くこともできなくて次の日も、またその次の日も奈々未とは連絡が取れなかった
そして俺の記憶の中から遥香の記憶が上書き保存されると同時に少しずつ奈々未との日々が薄れていった
そして、俺は2年に進級した