08
目の前の遥香を見るガラス玉のような透き通った目を見ると自分を説得する
俺はこのままだますつもりもない
でも今だけは
いつかは本当のことを言うから
だから今だけは
俺に言わせてよ
この等身大の気持ちを届けたいんだ
例え遥香が別の彼女だったとしても
こんな気持ちになるのは遥香だけなんだよ
この嘘もないこの心の言葉
「好きだ」
例え、1000人2000人の手の中からでも見つけれると思うんだ
この遥香の手なら
俺をいつも救ってくれたこの手なら俺は見つけれるんだ
「遥香、好きだ」
思わず、久々に口から出たはるかって名前と同時に俺は手を離した
でもすぐに俺は遥香を抱き寄せる
「あ………」
そしてぎゅっと包み込む
もしかしたら俺はとんでもないことをしているかもしれない
だって、もし潤一の彼女だったら軽い犯罪だ
殴られたってしょうがない
でもそんなこと言っていられないどうしても心がとまらないどうしても体がとまらない
「一つだけ聞かせて?」
「うん」
さっきとは比べ物にならないくらい近くで地超える遥香の声
雨もさっきよりおさまって鮮明に聞こえる
「遥香は、潤の彼女なの?」
「遅いよ、龍くん遅いよ」
その言葉が俺の耳に入ってきた