第11章 thunder
07



俺は遥香をだましてる


今俺の腕の中でさっきより落ち着いている遥香を見て心が痛くなる罪悪感に襲われて



でもこの手を離したくない自分がいる



「龍くん雷おさまってきたね」


「そうだな」


いつもより近くで聞こえてくる遥香の声手を握ってるだけで俺の気持ちは満たされていく



例え嘘をついてでも手に入れたいものがこんなに近くにあるなんてあんなに冷めていた俺にもこんなに夢中になるものがあるなんて



こんなに愛しい気持ちになるなんて




だから俺はこの手を離すなんてことは0%に近いんだよ



「あ!点いた」


蛍光灯は2,3回カチカチッと音を立ててじわじわと光りだした



目が慣れなくてまぶしい



「よかったね龍くん」


いまだ2人の手はつながれたまま
遥香はくるっと回って向き合う形になる



「ああ」


2人の距離は20センチもなくて
今にもキスできそうな距離


あまりの近さに驚いてのけぞる遥香
だけど、つながれたこの手が離そうとはしない



「あ、えっとー
もう大丈夫だよ」


必死にその手をほどこうとする
でもそれを俺は強い力で動きを封じる


「あの……えっと」


その力に抵抗していた遥香もおとなしくなった



「誰か来たら、龍くん困るよ?」


「無理、もう遅い」


「え?無理って」


「そんなに嫌かな?」


「え?」


「俺と手つなぐの」



遥香の抵抗が0になる


「いや、うれしいけど、………
でもえっとー………いやって言うか」


「…………」


「でも………」



「俺はずっとつないでいたいよ
遥香となら、ずっと………」







ライト ( 2016/03/02(水) 23:01 )