第11章 thunder
06




「イタ!」


「どうしたんだよ、島崎?」


「立ったら、椅子倒しちゃって」


「危ないからそこにいろ」


「う、うん」



電気はそれでもつきそうになくて



今にも泣きそうな
遥香の声を聞くと
俺は閃光の光を頼りに
遥香の元までたどり着いた


「龍くん」


遥香の指先が俺に当たる


「大丈夫だから、俺ここにいるし」


雷が光るごとに
震える遥香の体


その振動が俺にも伝わってくる


「雷苦手?」


「うん」


その言葉を聞いた瞬間
俺は遥香の手をつかんで
耳にあてる


今の状態は
後ろから遥香を抱きしめる形になっていて
二人の手で遥香の耳をふさいでいる


「これなら、怖くない」?



一瞬だけ遥香の手を
掴んで瞬間


「あ………」


と声が漏れたけど

すぐに遥香は俺の手を弱弱しく握り返して


「うん、怖くないかも」



暗闇じゃないとこんなこと恥ずかしくてできないよ



だって、後ろから抱きしめてるし
今、俺はどきどきを押えるかのように上を向く


だって、前を向いたらちょうど
鼻の所に遥香の髪の毛が来て



そのいい香りに
おかしくなりそうだったから







ライト ( 2016/02/28(日) 22:33 )