第11章 thunder
01
渡り廊下に出ると
遠くの方でかすかに雷の音が聞こえる

今は
傘をさすかどうか
迷うほどの雨が降っている


俺はそして
部室に向かう



コンコン


いつもはノックなんか
しないけど、一応
してみる



ドアを開けると
俺の口からすぐに言葉が出る


それは



「おい、アブねーぞ
落ちんなよ」


そこには危なっかしい
遥香が丸椅子に乗って
棚の上に段ボールを
置こうとしていた


「大丈夫だよ」

そういうと
子供がジャングルジムから
飛び降りるかのように
ぴょんと飛び降りた



そして、窓の外を覗き込みながら

「あーあ、さっきまであんなに
晴れてたのになー、傘教室にとりに行かないと」


「ああ………」


これからの時間
俺は遥香と部室で二人っきり


そんな好都合の
シチュエーションが
朝のデジャブのように
現れる


「はぁー疲れたなー
ちょっと休憩」


遥香はさっきから片付けをしていたから
疲れたのだろう


丸椅子をもってきて
窓の前に置いた



俺は立っている前にある
椅子に座る



外は雨が本格的に
降り出していて


部室の電球が
今にも切れそうに
チカチカしている中

息を深く吸って
口を開いた









ライト ( 2016/02/20(土) 16:51 )