第10章 心の声
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「なぁ、龍告った?」


昼休みにトイレでばったりあった
潤一が顔を覗き込みながら問いかけてくる



「まだだよ」


「なんだよー、お前意外と
チキンだな、あれだろ朝だけあの勢いで
だんだんフラれるんじゃないかって怖くなったんだろ?」


そんなんじゃねーよ
ただ、あのごめんの意味が分かんねんだよ
だからそれが分かってたら
そんなもん


今すぐにでも言ってるよ

なんて
言いたいけど


たぶん

ごめん
なんて言われなくても
まだ言ってないかな



「まぁ、待ってやるよ
ゆっくりやれや、楽しみにしてるぞ」


俺の肩を軽くたたいて
俺の前から消えていく


その後姿が
勝ち誇ったかのように
見えてしまう



なんで上からなんだよ
そんなことを想いながら俺は
自分の教室に戻っていく







ライト ( 2016/02/18(木) 22:23 )