第1章
03
「三上君おはよ」

「ああ、おはよ」

女子がおれの横を通り過ぎた時に
声をかけてきた



たぶんさっきの女子は同じクラスかな

でも名前なんて覚えてない


興味もない



朝の教室はいつもなんでか分からないけど
にぎやかで、俺にとっては
鬱陶しいだけだ


昨日のテレビ見たーとか
女子の甲高い声や、男子のバカ話の
間を通り抜けていく足音



「おい、お前は誰にいれる?」

その声に少しだけ顔をむける



その声は俺と同じ1年の
井上潤一だ、クラスは違うけど
おなじ部活のバスケットボール部に入っていて
それから仲良くなった


「入れるって何が?」


その問いをバカにするように
俺の前に1枚の紙を出した


「あれ、知らないのかよ
これ見てみろよ」


「なんだこれ?」


「隣のクラスから回ってきた
男子限定の、お前も参加しろよな」


見ると1年の名前と思われる
女子の名前が並んだ紙


横には顔、スタイル、性格
などが細かく書いてあって


その下にはまばらに
正の字が書いてあった


「これは、我が南高校の
ミス南校だ!」



聞いていくと
男子が学年の女子の査定を
しているようだった


よく見ると、正の字がいっぱいある人や、
すっかすかになってる
やつもいる


「で、お前は誰にいれるよー」


「俺はいいや
誰が誰か分かんねーし」


「言うと思った、なら俺が書いといて
やるよ」


俺の所から潤一の足音が
遠くなる



たまに、心配になると気がある

俺はいつの間に
こんなに冷めてしまったのだろう


急にスマホが震えだした
その着信名に
俺はそのメールを読む




「今度、お邪魔するからね」


七瀬からだった



なんで、確定してんだよ


もしも、七瀬が俺と同じ高校だったら
俺の生活は少しだけ変わっていただけかも
しれない




でも、そのメールを見ると
いつもため息が出そうになる


もういい加減あきらめたらいいのに


ほかの男を思ってる女を



俺と七瀬は小さい時から
一緒だった、近くに同じくらいの歳の
子供がいなくて、団地で近くに住んでいた
七瀬と、そしてもう一人、近くに住んでいた
高木亮平だ



俺の最初の恋はそのころには
存在していて
その恋は今もずっと続いている

もちろん俺の中だけで


でも、その恋はうまくいかなくて


七瀬はもう一人の幼馴染の亮平が好きで


でも、そのことを俺は相談されている


七瀬は進学校の西高校に進学した


そして、俺と亮平は
同じ高校に進学した


そんなかなわない恋を
信じてるから、俺はこんな冷めたやつに
なったのかな


















ライト ( 2015/10/20(火) 22:57 )