第一章
08
誰しも月曜日が好きな人はいない。無論、彼もその一人である。

ーーーあれから数日後…珠理奈にばれずに四人と一夜を過ごした彼は今、くじ引きの会場となる体育館内の舞台の裏で頭を抱えていた。

この学園の男女比率は教師含め2:8

そのほぼ8割の女子が舞台の外で今か今かと待ちわびている。

自ら承諾したもののいざその日が来てしまうと普段常に余裕を持っている彼も尻込みしてしまう。

そんな彼を見かねた優子とみなみが彼の両脇に立ち背中を押す。

「健太くん、そりゃ私達が勝手に仕込んだ事だけど自分で承諾したんだからさ、ね?」
「ほら、みんな待ってるから」

彼女らに促され彼は無言で頷くと意を決してステージに躍り出た。

耳をつんざくような黄色い声援に耐え、くじ引き箱とマイクスタンドの設置された中央に向かってゆっくりと歩き出す。

そしてマイクスタンドの前で立ち止まると次第にざわつきも静まっていき
少し間を置いて彼は口を開いた。

「みんなお待たせしました!待ちに待ったこの日が来たね?長ったらしい説明は抜きにして欲しいかもしれないけれど僕から注意点が一つあります。それは……後悔のないように楽しんでほしい事です。僕に出来る範囲内のことであればやらせてもらいますので素敵な思い出をたくさん作りましょう!」

彼が話終えると会場は再び割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。

そして彼が下がると同時に舞台袖に待機していたみなみと優子が代わりにマイクスタンドの位置に立つ。

「健太くんありがとうございました!さ、では早速本日の選抜に移りたいとおもいます!」

「映えある一番手のラッキーガールは…………大場美奈ちゃんです!ステージへどうぞ!」

大勢の女子の中から一人の女子が手を口に添えたまま起立しゆっくりとステージに向かって歩き出す。

彼女がステージ上まで来ると特徴的な大きめの瞳に光るものがあることが確認できた。

健太は彼女に近づき賛辞の言葉を述べると共にハンカチを取り出し彼女に手渡す。

「おめでとう!ほら、これで涙を拭きなよ?」

「うぅ……あ、ありがとうございますぅ……」

涙ぐむ彼女の頭を優しく撫でると彼女の肩を抱きステージを去ろうとする。

「えぇ?!ちょいちょい!け、健太くん!?どこに行くの?!明日とか明後日のも決めるんだよ?!」
慌てたみなみと優子が彼を引き止めると
「今この瞬間も彼女と過ごす時間は減っていってる。僕は少しでも彼女と一緒に過ごしてあげたいんだ。もし、他の女の子が選ばれたとしても僕はそうする。だから、ごめん…スケジュール表後で送って欲しい」との返答をして今度こそステージを去った。

体育館の外に出た途端に二人を夕陽が照らす。

「さ、美奈ちゃん。何処に行こうか?」

健太は彼女に微笑みながら尋ねると彼女は制服の上からでもわかる豊満な胸を健太の腕に押し付けて来た。

「今日一日しかないから、私の家に来て欲しいです……親二人は海外に出張いっていないから……」

「美奈ちゃん、自分が何を言ってるのかわかって言ってるんだよね?」

「はい……!私、本気です!」
彼女の真剣な眼を見つめた彼はしばらくして溜息をつくと首を縦に振り彼女の案内で大場宅へ向かって歩き出した。

■筆者メッセージ
今回はみなるんにさせていただきました。

次回はみなるんとの官能及びリクエストメンバーの誰かとの邂逅となります!
snow flake ( 2014/06/15(日) 22:05 )