02
空いていた隣の席に座ることになった玲奈。 彼は自分の中に芽生えたわけのわからない感情を誤魔化そうと窓の外ーー遠くを眺めた。
いつもなら、 転校生が来ても上辺だけの爽やかな笑顔を振りまいて上辺だけの友人関係を築き、平和に過ごしていた。なのに…隣にいる女を見ると心の平穏が崩れ去る。
彼は未知の感情に恐怖と苛立ちを覚えた。
(ありえない。ありえない…ありえない!この僕が!こんな女一人に!)
健太は表情を崩さないように努めるので精一杯だった。
彼に取って女は取るに足らない存在。 故に女ごときに揺れる自分の感情を否定せずにはいられなかった。
やがて、 隣同士の2人の間になんの会話もないまま放課後が来ると彼女は帰り支度をしてそそくさと帰ってしまった。
「……ふぅ……何だったんだ……さっきまでの心のざわつきは……というか、 この僕と一言も喋らず帰るなんて……」
彼は誰にもわからないように早口かつ小声で若干顔をしかめて帰ろうとすると同じクラスメイトでファンクラブのメンバーである河西智美と増田有華が彼の両腕に抱きついてきた。
「健太様ぁ……ちょっとお付き合いして欲しいチユウ」
「健太くん……来てくれへんと、 後が怖いで?」
河西の甘ったるい声と増田の脅しに観念した彼は2人に連行された。
体育館に呼び出されると所狭しと女子が並んでいて同学年で生徒会長の高橋みなみと風紀委員長の大島優子の2人が何やら熱弁しているようだった。
「お前ら、 健太くんとデートしたいだろ? あわよくば、 あーんな事やこーんな事したいだろ?」
「「きゃー!!」」
…あの2人は何を言ってるんだと彼は心で呟きながら舞台袖までくるとカーテンの影に隠れて隣にいた2人の乳房を服の上から揉みしだく。
「どういうことかな……? 智美ちゃん? 有華ちゃん?」
「ひゃ……ん……んぁあ……は……はぅん……」「ひゃ……あ……あぅぅ……くぅ……ん……!」
「この僕に夢中な女の子は大歓迎だよ? だけど……この僕の許可なしに勝手な事をするのはいただけないなぁ」
彼は透き通るような白い肌の色とは真逆のドス黒い内面を2人に暴露した。
怯えるどころか2人は雌のような表情を浮かべ甘い吐息を漏らし必死に嬌声を我慢しながら脚を内股にして身体をピクンと痙攣させている。
「真性のドエムだね? 君たち。 ふふふ…でも、 そういうの嫌いじゃないよ? 今度二人きりでゆーっくりシテあげるから」
2人の耳に吐息を吹きかけるとステージにいる優子とみなみの元へ向かった。
ステージに躍り出た途端に耳をつんざくような黄色い声援が体育館内に木霊した。
「「「「きぃやぁぁぁああ!!!!!! けんたさまぁぁああああああ!!」」」」
「話はみなみちゃんから聞いたよ。 みんな僕とデートしたいんだってね?」
「「「「もちろんです!!」」」
「もちろんいいよ、 ただし……みなみちゃんが言った通りくじで決めよう。 一日交代でデートする子を選出して当たった子と僕がデートでいいかな?」
「「「「「きゃーーー」」」」
「うん、 じゃあ明日までにみなみちゃんと優子ちゃんが作るみたいだからよろしくね?」
「「「きゃーーーーーー」」」
ステージの去り際に優子とみなみの額にキスをすると顔を真っ赤にしてフリーズした。
ステージ横まで来るとオナニーをしている有華と智美の前を素通りして珠理奈を迎えに行った。