元不良見習いの奮闘記







































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第8章 スイッチ入ると止められない
1匹狼
高松「こ、ここは?」
西野「私たちの練習場所。ついて来て。」
高松「あ、ちょっと・・・
西野さんに連れられて来た場所は、雑居ビルではなく、綺麗なビルだった。
なぜ、俺をこんなところへ連れて来たのかは分からない。
〜〜〜〜
ガチャッ!
西野「すいません、少し遅れました。」
「なーちゃん、連絡・・・って誰?」
西野「行きつけの定員さんです。見てもらいたくて、ここに連れて来ました。大丈夫ですよね?」
「まぁ、邪魔にならないところだったら、いいよ。」
高松「あ、あざっす。」
「あ!高松君だ!」
高松「あ・・・」
星野さん、堀さん、大園さん、与田さん、山下さんがいた。
高松「ど、どうも。」
大園「なんで、ここに?」
高松「い、いや〜、西野さんと偶然会ってここに来ました。」
山下「ライブに誘ったら、来なかったのに?」
高松「そ、それは〜、その〜。」
少し前からライブに誘われていた。
しかし、借金を返すために休めないと言い、断っていた。
与田「それよりもお店は?」
高松「理由はわかりませんが、厨房に立つなって言われました。」
星野「え?本当?」
堀「どうして?」
高松「本当ですよ。それよりき・・・トイレはどこにありますか?」
西野「我慢しぃ。すぐ着替えるんで待っててください。」
「わかった。すぐね?」
〜〜〜〜
練習風景を見ている。
必死だ。
次の歌番組か何かで披露するんだろうな。
さっきまで笑っていた顔が、嘘みたいに目の色が違う。
たまに歌番組を見るが、その時は笑顔なのにな。
俺も飯作る時、あんな顔をしていたのかと考えると、少し自覚は足りなかったと思う。
だが、もう関係ない。
また厨房に立つことになるのか、分からない。
だったら、好き勝手にしよう。
西野「なぁ?」
高松「え?あ。」
西野「どうやった?」
高松「すごいですよ。練習ですけど、綺麗と美しさが際立ってました。」
西野「ほんまに思ってるん?」
高松「思ってます。じゃ、き・・・トイレに行きます。」
西野「あ、ちょっと。」
俺は、喫煙所に向かう。
なぜ、西野さんがここに連れて来た理由が分からない。
高松「あった、あった。」
タバコを咥え、扉を開けようと・・・
「何してるの?!」
高松「ん?あ。」
1番見られたくない人に見られた。
星野「ねぇ、タバコ吸わないって決めたんじゃないの?!」
高松「はぁ〜、別にいいでしょ。星野さんには、関係ないでしょ。では。」
星野「待って!!」
腕を掴まれる。
高松「なんすか?身体に悪いですよ。」
星野「だったら、やめてよ!一回やめたんだしょ?!それに未成年だよね?!」
高松「いいんすよ。吸わせてください。」
星野「だめ!約束忘れたの?!」
高松「うるせぇーよ!あんたに何がわかるんだよ!!」
俺は、星野さんの手を振り解く。
星野「きゃっ!な、何よ!」
高松「どいつもこいつもうるせぇーんだよ!あんたらは、いいもんな!歌って踊ってりゃ金は入るし、ちゃんと家族がいて、ダチもいて!!俺のお袋は犯罪者で、親父はとんでもねぇーろくでなしだわ!!それに厨房に立つなって言われて、唯一の働き口がなくなった!!知った口して、俺に偉そうにものを言うんじゃねぇーよ!!・・・あ。」
星野「・・・」
星野さんは、目を点にしている。
気まずくなり、エレベーターに向かう。
星野「あ、ちょっと・・・」
星野さんは、何か言いたそうにしていたが、俺はその場を去る。

満腹定食 ( 2021/10/15(金) 23:12 )