元不良見習いの奮闘記







































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第3章 料理人の一歩
高松、頑張る
角田「かんぼう〜、まだか〜?」
高松「うる・・・今やってる!」
植村「やってますだろうが!!」
高松「すいません!!」
野菜の切り方から入っている俺は、まだ慣れてないので、作業が遅い。
今は、ジャガイモの皮むき。
めちゃくちゃ時間がかかる。
植村「その後は、キャベツを半玉ざく切りで、半玉千切りにしろ。」
高松「わか・・・はい!」
植村「包丁持ってなかったら、殴ってたぞ。ごら?」
高松「すいません。」
角田「かんぼう、安心しろ。俺もそんな感じだったから、頑張れよ〜。」
植村「康太!」
角田「え?!なんで?!」
〜〜〜〜
昼の営業が終わっても、俺の作業はまだ終わらない。
人参を細切りにしたり、玉ねぎを薄く切ったり、ネギをみじん切りにしたりと、今まで3人がやってきたことを俺1人でやっている。
手伝ってくれるが、ほぼ俺の仕事。
飯食って、20分くらい休憩したら、俺は下に降りている。
高松「いって!」
白村「またかよ。すぐ絆創膏貼ってこい。」
高松「くぅ・・・」
作業を焦るあまり、ここ数日で指を4回切っている。
指は絆創膏だらけだ。
植村「たこ!早く戻ってこい!」
高松「わ、はい!」
絆創膏を貼り終えると、すぐに作業に戻る。
そして、また野菜を切る。
植村「早くしろって言ってないから、作業はしっかりしろ。わかったな?」
高松「はい。」
植村「あと、また押して切ってるぞ。引きながら切れ。」
高松「はい。」
植村「きゅうりも切っとけ。薄く輪切りにしろ。」
高松「はい。」
追加された。
これじゃ、追いつかん。
ガララッ!
植村「いっらしゃい。嬢ちゃん。」
星野「どうも!あれ?高松君、何しているの?」
植村「えぇ、ちょっと包丁を握りらしてさぁ。」
星野「本当だ。」
角田「かんぼう、それは、後でいいから接客頼むわ。」
高松「はい。」
白村「一通り済んだら、また野菜を切ってくれ。」
高松「うぅ・・・」
白村「嫌がるな。」
指を切りたくない。
できれば、接客でいいわ。
星野「あ、手・・・」
高松「え?あ〜、今日も切りました。」
絆創膏だらけの指を見られる。
星野「見せて?」
高松「いや、見なくていいです。ご注文は?」
星野「ん〜、かき揚げとだし巻きで。」
高松「はい。」
俺は、厨房に戻りまた野菜を切る。
植村「きゅうりの後は、椎茸な。薄く切れ。」
高松「はい。」
視線を感じる。
顔を上げると、星野さんが見ていた。
高松「え、なんすか?」
星野「見てみたいな〜って。」
高松「いや、見なくていいです。」
植村「そんなことは、どうだっていいから、早く切れ。」
高松「はい。」
作業に戻る。
星野さんが店にいる間は、ずっと俺の作業を見ていた。
恥ずかしい。
高松「いった!」
白村「またかよ。」

満腹定食 ( 2021/09/20(月) 22:52 )