元不良見習いの奮闘記







































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第12章 表舞台の道
働く理由
日曜日
また亀川のスタジオに来ている。
亀川「これ、報酬ね。」
少し分厚めの茶封筒をもらう。
高松「お、おい。こんなに貰えるわけねぇーだろ。」
亀川「あの男の人からだよ。売り上げが8%上がったから、これくらいはあげないとって言ってたから貰いなさい。」
高松「まぁ、貰うけど。」
茶封筒から札を出す。
そして、光を当てる。
亀川「安心しなさい。全部本物よ。」
高松「そんなの信じれるかよ。俺の目で確かめて財布に入れるんだよ。おし、本物だ。」
俺の懐は暖かなるが・・・
高松「えっと、これくらいが大将分だな。」
亀川「ちょっと、どう言うことよ?」
高松「あ?今働いている店の大将に借金してんだよ。だから、その返済。」
亀川「え?親は?」
高松「お袋は犯罪者で、親父はボンクラ。」
亀川「本当?」
高松「マジだ。だから、今のバイト代の9割方は借金返済に当ててんだよ。」
亀川「え、どうやって生活しているの?」
高松「住み込み。賄いあるし、寝るところもあるし、小遣いも1万貰えるし、今のところはいい。」
亀川「そ、そうなんだ。」
高松「気にすんな。親父は会うと思うが、お袋は絶縁した。」
亀川「え?!」
高松「ん?」
亀川「それでよかったの?」
高松「あぁ、いいさ。で、呼び出した理由は、他にもあるんだろ?」
亀川「え、えぇ。次の新作も着て欲しいって、言われているの。」
高松「はいはい。受けますよ。水曜か日曜でな。」
俺は、帰ろうとする。
亀川「わかった。ちなみにさ?」
高松「なんだ?」
亀川「今の仕事は、楽しいと思っているの?」
高松「ん〜。」
最初は、金のために働いていたが・・・
高松「楽しいよ。」
亀川「本当に思っているの?」
高松「あぁ、店に来た人間がさ、俺が作った飯を食って笑ってみろ?めちゃくちゃ嬉しいし、笑ってもらえるように飯を作ると楽しいんだよ。あんたも写真撮る時、お客や人から嬉しくなるような言葉をかけられたら、いい気分になるだろ?」
亀川「えぇ、そうね。」
高松「それと同じだよ。じゃーな。」
亀川「・・・」
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次の日
西野「なぁ?ええ顔してるやん。」
高松「そうですね。」
この前来た坂道メンバー達が持ってた雑誌を見せてくる。
今は、作ることに集中だ。
西野「へぇ〜、私なら着れないな〜。」
高松「さいですか。はい、そうめんチャンプルです。」
西野「へぇ〜、無茶振りしたのに作ってくれたんや。」
高松「まぁ、材料ありましたし。」
西野「ふ〜ん、いただきま〜す。ん〜!美味しい!!」
目を瞑っていて、口角が上がっている。
こんな顔を見られるのは、ここだけだな。

満腹定食 ( 2021/10/30(土) 22:17 )