新人警察官は駆け上がる





































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第3章 通り魔事件
俺の仕事
目を覚ますと、知らない天井が目に入る。
あれ?俺って、確か夏祭りの会場で・・・
「お、起きた?!津田さん!聞こえますか?聞こえているなら頷いてください。」
俺は、指示通りに頷く。
俺は、病院にいる。
あれから運ばれたらしい。
〜〜〜〜
北村「お前は、何かと問題を起きるところにいるんだよな。」
津田「らしいですね。わざわざ見舞いに来てくださってありがとうございます。」
北村さんが休みを利用してお見舞いに来てくれた。
夏祭りから1日経ったらしい。
司会者も命に別状はなく、俺と一緒に手術したと聞かされた。
北村「あと、お前の親にも連絡しといたから。そろそろ来るんじゃねぇーか?」
津田「新幹線で来るならそろそろですかね。」
今は13時前、そろそろ病院に来てもいいくらいだ。
ガララッ!
勢いよく病室の扉が開く。
北村「噂を・・・って!」
早川「津田さん!!」
俺の親とは違う人間が入ってきた。
早川「大丈夫?痛いところはない?」
津田「あぁ、大丈夫やし、痛いところもない。その前に俺がここの病院にいるって誰・・・」
「私やけど?」
津田「おかん?!」
俺のおかんが、早川さんの後に入ってきた。
母「改札出てタクシー乗り場を聞こうとして、この子に声かけて一緒に来たんやわ。」
早川「すいません。ありがとうございます。」
母「ええの、ええの。うちの子を心配してる子がいるなんて、私は嬉しいのよ。」
北村「すいません。俺は、ここで。」
母「上司の方ですか?本当にご迷惑を・・・」
北村「いえいえ、真面目すぎる後輩ですよ。見てて面白いですし。自分はこれから予定があるので。」
北村さんは、病室から出ていく。
早川「津田さん、今回も助けられちゃった。だけど・・・」
津田「いいんだよ。俺は早川さんみたいな人たちを守るために警察官になったんだよ。」
少し悲しみを帯びた目をする。
母「今回も?雄介、あんたこの子助けたの何回目?」
津田「2回目、1回目はあの誘拐事件の時に助けた。」
母「あ〜、あんたが謹慎もらって言ってた時か。その時助けたのはこの子なん?」
津田「そうやで。アイドルグループで1番期待されてる子やで。」
早川「つ、津田さん!やめてや!恥ずかしい!」
母「珍しいわ。あんたが、そんなアイドルの子に興味持つなんて。」
津田「別にいいだろ。」
母「まぁ、元気でよかったわ。警察官なってそんなこと覚悟してたけど、あんたは色々としぶといから安心したわ。」
津田「やりたいことがあるのに死ねるかよ。それくらいしぶとく生きてやるよ。」
母「退院は?」
津田「明後日にでもいいだろうって。」
母「なら、明日に帰ってええやろ?」
津田「ええで、大丈夫や。」
母「ホテルに行くけど、あ、お金は?」
津田「えっと、そこに財布があるけど中身は・・・」
財布の中身は、1万2千円と少し小銭が入ってるくらいだ。
母「そんな入ってないんやろ?はい。」
2万渡してくる。
津田「ええって、明日引き出してくるし。」
母「何を言ってるんや。あんた、毎月5万送ってくるのに、そんなこと言うなよ。これくらいもらったき!」
津田「う、はい。」
渋々2万を受け取る。
母「じゃ、行くで。」
津田「うん、じゃーな。」
おかんは、病室から出ていく。
早川「いいお母さんやね。」
津田「あぁ。」
早川「親に仕送りしてるん?」
津田「そうだな。怪我して就職するの遅れたから、その分の金をな。」
早川「えらいね。」
津田「えらくねぇーよ。やって当然だ。」
早川「津田さん。ほんまにありがとう。私、津田さんがいひんかったから死んでたわ。」
津田「そういうのから守るのが俺の仕事だ。その前にライブはどうなるんだ?」
早川「別日にやるって言ってた。夏祭り会場より広くないなんて。」
津田「やれるだけいいだろ。遠藤さんは?トラウマになってないか?」
早川「ちょっと落ち込んでたけど、さっきメッセージ入れたら、こっちに向かってるって言ってた。」
津田「なら、大丈夫そうだな。けど、犯人に酷いこと言われたんだろ?」
早川「う、うん。白石さんって私たちの先輩やねんけど、さくちゃんのせいで卒業したって・・・」
そりゃ下が育てば、仲間のためではなく自分のために生きようと思うだろう。
津田「遠藤さんのせいじゃないだろ。それもわかってるだろ?」
早川「うん。けど、実際にそんなこと言われるのって傷つくやん。」
津田「そんなもん相手の考えたことだから気にするなよ。そういうやつって色んなアラを探して突っつくことしかできないんだからよ。」
早川「けど〜。」
津田「わかってる。そんなことをする奴を出さないために俺たちがいるんだろ?全部が全部守れるわけじゃないが、大抵のことは守ってやるよ。」
早川「・・・」
津田「お〜い?早川さん?」
早川「え、あ!うん!ちゃんと守ってや!」
ガララッ!
遠藤「津田さん!」
賀喜「大丈夫ですか?!」
津田「あぁ、大丈夫や。」
遠藤「よかった〜。」
涙ぐむ遠藤さん。
津田「おいおい、泣くなよ。」
遠藤「だって、津田さんが死んじゃったらって思うと・・・」
津田「何言ってんだよ。人を守って死ぬのは俺たち警察官の本望や。」
遠藤「そんな、私のせいで・・・」
津田「そんなこと言うな。警察官は常に死と隣り合わせだ。私が悪いって思うな。」
遠藤「・・・う、うん。」
津田「ほら〜、笑えよ。お前さんは笑ってる時が1番可愛いんだからさぁ。俺が死んだ時とちゃんと笑ってくれよ。」
遠藤「できるわけないですよ〜。」
津田「大丈夫や。その時覚えてたらでいい。」
賀喜「私もそんなことできないよ。」
津田「できたらでいいって。葬式じゃなくても墓参りの時でもいいわ。」
早川「そんなこと言わんといてや〜。絶対生きてや〜。」
津田「お、まだ手術痕が・・・いって!」
早川さん達は俺に抱きついて泣いてくる。
そのあと看護師さんに注意されたのは、言うまでもない。

■筆者メッセージ
時間が空くと思ってましたが、指が動いてしまいました。
満腹定食 ( 2021/05/17(月) 08:58 )