新人警察官は駆け上がる





































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番外編 戻ったら戻ったできつい
半同棲 その3
平屋
橋本「わかってるの?」
津田「・・・はい。」
腕を組んだ橋本さんの前で、正座している俺。
相当お怒りのご様子。
まぁ、原因は俺にある。
橋本「会社の機密事項ってわかってるよね?」
津田「・・・はい。」
橋本「じゃ、なんでここにあるのよ。」
坂道全員の個人情報が綴ったファイル。
俺が怒られている理由は、それだ。
今野さんからサービス残業も禁止されており、残業も40時間に決められている。
そのため時間が足りないと思い、明日休みなので、今住んでいる平屋で調べようと思っていた。
帰った時に橋本さんがいて、それで見られてこの状況である。
津田「だって、残業しちゃあかんって言うから・・・」
橋本「だから、なんで自分1人でやろうとするのよ。」
津田「どうにか売り出したいからやっているんや。そんなことしても、ただの自己満だから言っても無駄だと思って・・・」
橋本「本当に、頭が固いよね。」
津田「・・・はい。」
橋本「はぁ〜、今野さんには黙っておくから、今はやめなさい。」
津田「すいません。」
橋本「売り出したいのは、私も一緒。けど、グループの関係もあるから・・・」
津田「とか言って、ほぼフロントや2列目メンバーしか出てないだろ?別に1回だけでいい。そいつのいいところを見せたらいいんだよ。それで、良かったらそいつを起用してくれって話だって。」
橋本「言い方良くないけど、不人気メンバーを出してなんになるのよ。」
津田「それは、ファンに見てもらうためだ。だから、俺は多くのファンの人たちに見てもらってあいつらが懸命になっている姿を見せたいんだよ。」
橋本「本当に綺麗事しか言わないよね。」
津田「俺には、これしかないんや。」
橋本「気持ちはわかるけど、ダメよ。それだったら、今野・・・」
津田「わかった。」
橋本「物分かりが良いみたいな。」
津田「・・・ッ。」
力いっぱいに拳を握る。
どうやっても上の奴らには逆らえない。
残酷な結果を見させられても、表に出て色んなファンに見てもらいたいだけなのに・・・
橋本「ご飯先に食べて。後・・・」
津田「自分の部屋で寝る。」
橋本「あっそ。」
俺は、用意されている飯を食べに行く。
その際に橋本さんに聞こえないくらいの声で
津田「くそがッ。」
とつぶやいた。
橋本「ふぅ〜。私だってそうしたいのよ。」
その言葉は、津田の耳に入らなかった。
ーーーー
次の日
津田「すいません。勝手に持ち出して。」
今野「本当にやめてくれよ。次やったら、わかっているだろうな?」
津田「はい。申し訳ありません。」
俺は、資料を持ち出したことを今野さんには報告した。
そのまま自分のデスクに行き、仕事をする。
今日は、スケジュール整理。
津田「ん?」
俺のデスクには、束になった封筒が置いてあった。
乃木坂のアンダーメンバーや櫻坂の3列メンバー、そして悔しい思いをしている日向坂メンバーの名前が書いてあった。
数枚内容を見てみると、悔しやと俺に対する感謝が綴ってあった。
目頭が熱くなった。
「津田?どうした?」
津田「い、いえ。大丈夫です。うっし、頑張るか。」
いつか、あいつらが光を浴び続けられるように頑張るか。
〜〜〜〜
北村「で、橋本さん。あんたの作戦にのりましたが、あれで良かったのか?」
橋本「いいのよ。あれで、自分がやってきたことが報われると感じれているはずよ。」
北村「まぁ、実際に少しずつだが、津田の影響で、メディアに出れてないメンバーが少しずつ出演できるようになりましたからね〜。」
橋本「私たちも本音では出したいけど、ほぼ向こうのオファーだからなんとも言えないからね。けど、それでも諦めないのがあの子でしょ?」
北村「そうでしたね。警察官の時から諦めの悪さは、多分全国1番ですわ。」
橋本「まぁ、ありがとう。今度一杯奢るわよ。」
北村「いいんすか?だったら・・・」
橋本「ごめんね。一次会だけよ。」
北村「わかってますよ。あんたが、惚れているのは津田だけですからね。」
橋本「ほら、行くわよ。」
北村「わかりやした。」
この2人がいる限り、津田は頑張れるはずだ。

満腹定食 ( 2021/08/30(月) 18:50 )