新人警察官は駆け上がる





































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第33章 その先に見えたもの
日常だったあの頃
1ヶ月後
津田「じゃ、行ってくるわ〜。」
母「はいはい〜、昼飯は?」
津田「冷蔵庫に入れてある。チンして食べて。」
母「わかった。いってら〜。」
松葉杖が取れて、歩けるようになったが、まだ普通に歩くことができてない。
少し引きずる感じで歩いている。
その影響で、バイクはまだ乗れず車でリハビリ施設まで通っている。
リハビリ施設は、大阪にあるため、電車で通うより、車の方が安く済む。
それに週3で通うことになっているため、まだまだ先が長いらしい。
車は工場の駐車場に置いているため、おかんに報告してから行くようにしている。
〜〜〜〜
キン!ガチャ!ガシャーン!
色んな金属音がする。
リハビリ施設って言ってもジムが併用されている。
津田「ん!ふっ!ん!!」
ガシャン!
決められたリハビリメニューをこなしている。
少し痛みがあるが、ある程度はこなされる。
日常生活に戻るまでにやっているが、今の俺に目標なんてない。
リハビリをしていると、なんでこんなに全力でこなしているのか疑問に持つことが多くなった。
津田「あと1セット。」
それでも、自分のためだと言い聞かせてリハビリに専念する。
余計なことを考えたら、今の俺は終わりそうだ。
〜〜〜〜
津田「ただいま〜。」
事務所にいるおかんに言う。
母「おかえり〜。今日は、どうやったん?」
津田「ん〜、まぁまぁ?」
母「そうか。おとんは、講習会やから明日帰ってくるわ。」
津田「わかった。飯は、3人前くらいで作るわ。」
母「了解。それよりも、あんたを追いかけてここで働きたいって言った子、なかなかのパンチ効いてるわ。」
津田「ん?黒田のことか?」
母「そうそう、ちょっと効率良くなったし、仕事も少し増えたからあの子に任せてもいいかもな。」
津田「いいんじゃね?俺は、飯作ってくるわ。」
実家に帰ったから2週間してから、黒田が実家に来た。
家にあげて話を聞くと、研究所が潰れてしまったらしい。
あの騒動が起きる前から、少し怪しい動きをしていたから仕方ないと黒田も少し呆れていた。
そのため、黒田の技術を実家の工場に応用して車の整備に役立ている。
あの時の黒田は
黒田(お願いします!!なんでもしますので、働かせてください!!)
すぐに土下座をしてここで働くように頭を下げていた。
それを見たおとんとおかんも、雇ったのだ。
黒田がいない理由は、おとんと一緒に講習会についていった。
整備屋をするには、必要らしいからな。
津田「よし、作るか。」
飯を作る。
酒も飲みたいが、あんまり動いていないため、また禁酒している。
今は、うまい飯を作ろうと色んなことを考えている。
津田「・・・」
だけど、飯を作るとあいつらの笑顔が浮かんでくる。
本当は、あいつらと居たかった。
だが、歩くことすら難しい現状でそんなカッコ悪い姿を見せれるわけがない。
津田「ふぅ〜。ん?」
携帯にメッセージが入る。
高瀬[みんな頑張っているけど、やっぱり津田さんがいないと気持ちを切り替えられないみたい。]
高瀬からだった。
津田[そうか・・・けど、俺はお前たちと覚悟を決めて別れた。もう会うことはないと思う。すまん。]
高瀬[ううん、けど、みんなどこかで津田さんが帰ってきてくれるって思っているみたい。だからいつでも会いに来てね。]
津田[近くでライブとかあればな。苦しかったら、みんなに言っていいんだぞ?]
高瀬には、俺と繋がっていることが苦しく感じるなら暴露していいと言っている。だが・・・
高瀬[大丈夫。津田さんも辛いってわかっているよ。だから、リハビリ頑張ってね。]
津田[あぁ、なんとか普通に歩けるように頑張るわ。じゃ、何かあればまた連絡くれ。]
高瀬[うん、気をつけてね。]
津田[へいへい。]
津田「ん、ふぅ〜。」
あの頃の方が良かったって言いたくない。けど・・・
津田「いやいや、そんなこと考えるな。とりあえず、飯だ。」
また飯を作る。
Prrrr
津田「なんだよ、今度は〜。」
知らない番号からだ。
津田「はい、もしもし。間違え・・・はい?えぇ、自分ですけど、どちら様ですか?え?はぁ?!なんで俺の携帯に?!はい、はい、えぇ〜と、来週の土日は、絶対家にいますね。はい、はい。えぇ〜、わかりました・・・あ、はい。」
母「ご飯まだ?」
津田「あ、もうすぐできる。あと、おかん。」
母「どうしたん?」
津田「来週の土日、どえらい客が来るわ。」
母「え?誰なん?」
津田「〜〜〜さん。」
母「え、嘘。」
津田「ほんま。」
おかんも驚いている。
それに俺にも接点がない。
なんでだろうか。

満腹定食 ( 2021/08/27(金) 08:04 )