新人警察官は駆け上がる





































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第28章 キャンプイン夏
有給事情
7月の上旬
川辺「今日から平松君が、早めの夏休みに入ります。杉山君、津田君お願いしますね。」
津田「はい!」
杉山「わかりました〜。」
梅雨も明けて夏に入り、みんな夏休み休暇のために有給を使っている。
杉山「平松の次は、俺だからな。」
津田「はいはい、わかってますよ。それで今回は、実家に帰るのか?」
杉山「そんなんだよ。なんか今年は、帰って来いってうるさくてさ〜。まぁ、それに野球部の連中にも会いたいからそろそろ帰ろうかなって。」
津田「なるほどな〜。平松は、結婚式の参加と並行して休むって言ってたな。」
平松は、地元の友達が結婚式を挙げたために有給を使って夏休みに入った。
杉山も帰省のために有給を使うようだ。
川辺さんは盆の期間に有給を使って、お孫さんと遊びに行くと聞いている。
川辺「津田君、ちょっと。」
津田「はい?」
川辺さんの机の前に立つ。
川辺「いつになったら、有給申請書出しますか?」
津田「あ、えぇ〜と・・・」
やべぇ、無記入のまま引き出しの中に入れてある。
川辺「あのね、津田君。別に働くのはいいことですよ。しかしですね・・・」
津田「は、はい・・・」
少し空気が冷たくなる。
冷房が効いていると思うが、少し違う。
川辺「有給を取らないことで、私がどんなことを言われるか分かっていますか?」
津田「お、お叱りの言葉です・・か?」
川辺「分かってますよね。なのに、君はまだ出さないつもりですか?」
津田「い、いえ。け、決して忘れていたわけじゃあ、ありません!!」
川辺「ほほぅ〜。杉山君。」
杉山「ら、ラジャ!」
津田「あ、杉山!!」
杉山「背に腹はかえられぬ!ありました!無記入です!!」
川辺「津田君?」
津田「は、はい!」
川辺「今日中にそれを書いて私のところに出してくださいね?わかりましたか?」
目が笑っていない。
津田「す、すぐ書きます!」
敬礼をする俺。
川辺「今からパトロールでしょ?その後でもいいので、早くして出してくださいね?」
津田「り、了解しました!す、杉山!行くぞ!」
杉山「お、おぉ!!」
逃げるようにしてパトロールに向かう。
川辺「はぁ〜、本当に仕事人間ですね〜。」
〜〜〜〜
津田「杉山、後でしばくわ。」
杉山「し、仕方ないだろ!!初めて見たぞ。あんな川辺さん。」
津田「それに平松が何か聞いていたな。」
杉山「え?なんて?」
津田「えぇ〜と、確か・・・川辺の顔も三度までやったけ?生活安全課にいた時に言われていた言葉らしいぞ。」
杉山「うわ〜、あの顔を見れば納得するわ。」
津田「はぁ〜、有給なぁ〜。」
杉山「本当に取る気ないとか変わってるよな。」
津田「別にいいだろ。休んでたって酒飲むかバイクでどっか行くしかないんだからよ。お前らみたいな帰れる距離ならまだしも俺は、遠いんだよ。」
杉山は茨城、平松は千葉、時間はかかるが帰れる距離だ。
それに比べて俺は、関西のど田舎。
移動だけで1日が終わってしまう。
杉山「それは、仕方ないだろ?まぁ、今年くらいぱぁ〜!こっちで遊べば?」
津田「そうだな〜。悩んどくわ。」
杉山「その前に有給の日決めろよ。」
津田「うぅ・・・」
いつ取ろうか・・・

満腹定食 ( 2021/07/26(月) 22:49 )