新人警察官は駆け上がる





































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第23章 自分の不幸事は笑い話しろ
住職の忠告
久々の1人休日を満喫するために俺は、バイクに乗って日向坂区を走っていた。
まだ夏の暑さも残っているのか、バイクで感じる風が涼しい。
津田「いや〜、最高だな。」
家でビールや酒を飲み続けるより、外に出て風を感じている方がいいわ。
少し走っていると、ゴーグルに水滴がつく。
津田「ん?」
雨がパラパラと降ってきた。
津田「うわ、やべ。」
今住んでいるところまで40分ほど走らないと帰れない。
それに雨具も無いし、寄れる場所もない。
津田「最悪だわ〜。」
久々のツーリングを楽しんでいたのに。
津田「あ。」
すると前に寺が見えてきた。それに屋根付きの駐輪場もある。
津田「寄らせてもらうか。」
バイクを駐輪場に止めて、寺に入る。
津田「すいませ〜ん!」
呼びかけても返事がない。
津田「えぇ〜、留守かよ。」
「どうしたんじゃ?」
津田「どわぁ?!」
足音や気配なく後ろに立っていた。
津田「びっくりした〜。あの、少しの間、雨宿りさせてください。」
「それはそれは、いいですよ。こちらへ。」
津田「すいません。ありがとうございます。」
俺は、住職に案内されて寺の中に入っていく。
本堂に行くと、立派な仏像が飾られている。
俺は、賽銭を入れて一回拝んで本堂に上がり、座布団に座る。
津田「こんな立派な仏像があるとは、思っていませんでした。」
「そう言ってくれるとは、ありがたい。しかしな。」
津田「はい?」
「お前さんに近々不幸な事が起きるぞ。」
津田「・・・え?」
「昔からわしには、見えないものが見える傾向があるんじゃよ。それで、お前さんの背中に嫌なものがついている。
津田「マジか・・・」
「今のわしには、祓う力がないでな。忠告だけしておく。」
津田「それは、ありがとうございます。」
「すんなり受け入れるんか?」
津田「まぁ、不幸?最悪な事が起きた事があるんでね。これに関しては、仕方ないですよ。」
「お主は、それでいいのか?」
津田「運命は変えられるのは、テレビの中なんで。」
「何があったんじゃ?」
津田「ん?別にそんな大したことはないんですよ。あ、雨止んだんで帰ります。ありがとうございました。」
俺は、またバイクに跨り家に帰る。
帰りには何もなかったが、この先からちょっとした不幸ごとが起き始めることは、この時の俺はまだ知らない。

満腹定食 ( 2021/07/08(木) 20:18 )