第1章
04
「はぁ…まさか今日で見納めになってしまうとは…満足しないまま返すのか。」

嘆きながら鷹斗は家へと向かっていた。弘のミスにより、昨日貰ったビデオを返さなくてはならなくなった。昨日早々に見たが、母が帰って来た為半分も見れていない。それに、慌てていた為電源も切ったのだ。

(結局昨日何処まで見たか全く覚えてないんだよなぁ…)
「なんだかなぁ…」

ため息をつきながら、鷹斗はようやく家に到着した。何時になく足取りが重かった。

「ただいま。」
「あら鷹斗早かったわね。」
「母さんどっか行くの?」
「そうよ。だから、帰り遅くなるから自分で済ませてね。」
「わかった。」
「じゃあ後は頼んだよ。」

そう言うと母は出掛けて行った。因みに鷹斗の家は母と二人暮らしだ。中学の時に両親が離婚し、鷹斗は母と暮らす事にしたのだ。それはともかく、母は出掛け今家には鷹斗一人だ。

(これでビクビクせずビデオ見れる。良かった…)

鷹斗は着替えを済ませ心置きなく、ビデオをまた一から見始めた。

(やっぱりエロい。また暇な時自分で買おうかなぁ…)

なんて思っていると…

「ん?これ何だ…ビデオの特典か?」

その特典にはなんと…

「え…イベント!?何時だ、今度の土曜じゃん!行きたいなぁ…けど、母さんにどう言えばいいんだ?」

鷹斗は特典だけポケットに入れ、ビデオを見終わると学校用のカバンに入れた。

夜明け前 ( 2018/12/03(月) 15:34 )