第1章
03
翌日、鷹斗は何時もの様に登校すると、弘が血相を変えてやって来た。

「何だよ朝早くから。顔色悪いぞ?」
「鷹斗…聞いてくれ、コレクションが全部無くなったんだよ…」
「何時だよ?」
「昨日…」
「昨日って…まさか、家帰ったら親に?」
「ああ。お前にあげた杉原杏璃のも無くなってた…」
「それはお気の毒様。」

弘は朝から悄気ていた。今迄買ってきた物が全部無くなったんだから…と同時に鷹斗も不安になった。

(て事はだな…まさか俺も、今日帰ったら無くなってたりして…マジかよ、言わんこっちゃ無いじゃん。)
「なぁ…鷹斗、昨日あげてあれだが、やっぱ返してくれない?」
「冗談じゃないよ。何で返さなきゃダメなんだよ?お前がバレるとこに置いたのがダメだったんだろ?」
「そうだけどよ、それ買ったのは俺だし。」
「何だよそれ…」
(昨日貰って僅か数日で返さないといけないとか…こんな事あるんか?はぁ…昨日最後迄見れてないのに…こんなんだったら初めから弘に貰うんじゃなかった。)
「はぁ…分かったよ。けど、返すとしても明日だからな?」
「すまん、お前の好きな人のを。」

これで親の目は気にしなくても良かったが、同時に何度も見れなくなった為、鷹斗の心情は複雑だった。

夜明け前 ( 2018/12/03(月) 06:18 )