第7章
05
「皆んな…卒業おめでとう。皆んな全員卒業出来て、先生凄く嬉しいよ。」

担任の指原先生は目を潤ませながら話した。無事卒業式も終わり、優希達は最後のクラス会をしていた。

「明日から皆んな、新たな生活が始まる。先生とは皆んな今日でお別れだけど、また皆んなでいつか会えるといいね。それぞれの進路に向かって、皆んな頑張ってね。じゃ、皆んな卒業おめでとう。」

クラス会は終了した。皆んなぞろぞろとクラスを後にする。優希は悠太のところへ向かった。

「泣き虫悠太。」
「うるせ〜…皆んなに会えないってなるとよ…なんか込み上げてきてよ…」
「俺らはお前が泣くなんて思わなかった。てっきり優希が泣くもんかと思ったけど。」
「まだ言ってんのかよ。いつから俺は泣く決まりになってんだよ。」
「まあまあ、悠太が涙脆い事も分かったし、俺らも教室出ようぜ?」
「尚ちょっと待てよ。指原先生?」
「何?」
「最後に俺らと写真撮りません?」
「あら、じゃあお願いしようかな。」
「でも、誰が写真撮るんだよ?」
「それはだなぁ…」
「優希貸しなさい。」
「姉ちゃん!?」
「優子さん!?」

優子の登場に優希と尚は驚いた。何処から出て来たのか全く分からなかった。一方、悠太達はこの女性が一体誰なのか分からなかった。

「優希誰?」
「俺の義理の姉ちゃんだよ。」
「えー!?お前の姉ちゃん!?」
「お前に姉ちゃんなんかいたのかよ?」
「言わなかったか?」
「あら、優希君とこお姉さんがいたなんてね。」
「先生、優希がお世話になりました。手を焼いたでしょ?」
「いえいえ、優希君には色々と助けてもらいましたよ。」
(手を焼いたって…俺は美音じゃないんだけど…)
「さ、皆んな集まって。」

指原先生の周りに優希・悠太・尚・真央・隆史が集まった。

「イケメン揃いね。先生羨ましい。」
「ありがとうございます。皆んなありがとね。」
「悠太は、優希の姉ちゃん見た途端に泣くの止めたな。」
「泣いてねえし。」
「目腫れてるじゃねえかよ。お前も意外と意地張りだな。」
「うるせ〜!」
「優希ー!」
「愛佳か。」
「後、泣き虫悠太!」
「愛佳ちゃんまで…」
「山本先生と写真撮らないの?」
「撮るー!」

悠太は一目散に走って行った。優希と真央は呆れた。

「やっぱあいつ、麻友ちゃんより山本先生が好きなのかもな。」
「あまり大きな声で言うなよ。麻友が聞いてたらどうすんだよ?」
「すまんすまん。」
「それより真央、岡田とは順調なんか?」
「まぁ…順調と言えば順調…って何で知ってるんだよ?」
「なんとなくだよ。さ、俺らも行こうぜ。」
「ちょっと待てよ優希、何処から情報仕入れたんだよ?」

先に行く優希を真央は慌てて追いかけた。

夜明け前 ( 2018/12/02(日) 09:35 )