第7章
01
「優希ほら、写真写真。」
「あのさ母さん、俺そんなガキじゃないんだけどさぁ…」
「何言ってんのよ、あんたの最後の晴れ姿なんだから。ほらこっちこっち。」
(朝から写真ばっか…卒業式前に疲れてしまう気がする…)

3月…優希は卒業式当日を迎えた。この日は雲ひとつない青空、卒業式にぴったりの天気だ。優希は朝から母に写真を撮られていた。

(写真ぐらい卒業式終わってからでもいいのに…)
「優希君、いよいよ来たね卒業式。」
「だな。はるっぴもおめかしして。」
「そんな変わってないでしょ?」
「遥ちゃんもほら、優希と一緒に。」
「さっきから母さん、写真撮ってばっかなんだよ。学校行ったらどうせまた、皆んなと写真撮るんだからさ…」
「仕方ないよ。ほら、2人で写真だって。」
「はぁ…朝から疲れる。」

その後優子・美桜も上から下りてきた。父は早くも卒業式行く準備ができていた。

「父さん早ない?まだ数時間後なのに。」
「何言ってんだ、何事も準備が大事なんだ。」
「確かにそうだけどさ…」
「優ちゃん卒業おめでとう。」
「ありがと。」
「優希、いきなり泣いたら恥ずかしいからね?」
「泣かないから。姉ちゃんまでなんだよ、美桜も『泣かない?』って聞いてくるし…俺は泣く前提かよ。」
「そう言ってる人が、ああいう場で爆泣きするんだから。優希ならあり得るでしょ?」
「はぁ…」
「優ちゃん卒業式何時からなの?」
「9時だったと思うけど。そっか…美桜行くって言ってたな。」
「優ちゃん忘れてたの?酷〜い。」
「父さんと母さんだけで充分なんだけど…」
「ダメに決まってるでしょ?」
「はぁ…」

朝からため息ばかりついている優希だった。

夜明け前 ( 2018/11/18(日) 18:05 )