第6章
05
そしてカラオケ大会も終わり、優希達はカラオケ店を後にした。

「いやぁ…久々に歌ったなぁ。」
「悠太歌いすぎ。悠太の独壇場だったじゃん。」
「少しは遠慮しろよ。」
「俺なりにはしたぞ?優希とかが凄い遠慮したからさぁ、歌わなきゃ勿体無いじゃん。」
「たまには休憩いるだろ。そのうち喉やられるに?」
「確かに、悠太後半声出てなかったしね。」
「それは…そうだけど…」

何故か悠太は麻友・真央から指摘され落ち込んだ。一方の優希は後ろにおり悠太らの会話には参加していなかった。

「しかし優希、俺初めて聞いたよ。優希の生歌、ああいうの歌えるんだな。」
「たまにだけどな。そんな頻繁には歌わんし。」
「あっという間に終わったね。いよいよ卒業かぁ…」
「学生生活も終わりかぁ…」
「終わりって…大学行くならまだ学校生活あるんだから。」
「そうだった…」
「それを言うなら、『高校生活終わりかぁ…』でしょ?」
「愛佳ちゃんの言う通りです。」

優希達はいよいよ卒業だ。だが、優希はまだ皆んなに福岡行くのを言えていない。

「じゃ、皆んな卒業式で…」
「ちょっと待って!」
「ん?どうした優希、なんかあるのか?」
「あのさ、皆んなに言わなきゃいけないことあるんだけど…」
「何だよ?」
「実は俺…卒業したら福岡住むことに決めて…」
「え…福岡!?」
「どうして?」

突然の優希の告白に皆んな驚きを隠せない。優希は話を続けた。

「皆んなが驚くのは仕方ないよね…実は、この冬休みに美桜と約束しちゃって…断れなかったんだ。先生にも言ったし、親にも言って…だけど、皆んなにはなかなか言えなくて…ほんと卒業ギリギリに言ってごめん。」

優希は深々と頭を下げた。暫く間があき、美桜が続けた。

「私が優ちゃんに『一緒に住みたい。』って言って…勿論私も優ちゃんには皆んながいるし、一緒にまた居たいと思ったかもしれないけど、私が優ちゃんとずっと居たいから…優ちゃんに無理を言ったの。」
「そうだったんだ。だから優希、俺らが聞いた時曖昧な答えだったのはこれか。」
「申し訳ない。」
「でも、美桜ちゃん優希といる時、凄く楽しそうだもんな。美桜ちゃんが優希と一緒に住みたいって言うのも無理ないね。」
「優希、美桜ちゃんと幸せに過せよ。」
「皆んな…ありがと。」

悠太らも突然の告白に驚きはしたが、今更ダメとも言えない。悠太らは優希と美桜の思いを受け止めた。

「優希、卒業したらもう福岡行くの?」
「いや、すぐには行かないよ。準備もあるし、それに皆んなと卒業旅行行きたいし…」
「え!?優希、卒業旅行って言った?」
「うん。皆んなと卒業旅行ね。」
「マジか!優希何だよ、これまで隠してたのか?」
「隠してたつもりはないよ。」
「やったー!!卒業旅行楽しみだなぁ…」
「でも、先ずは皆んなで明るく卒業ね。」
「そうだね。じゃ、皆んな卒業式で。」
「うん。」

皆んなそれぞれの家へと帰って行った。

■筆者メッセージ
超久しぶりに更新!忘れてたわけではありません笑
夜明け前 ( 2018/11/07(水) 06:56 )