第6章
02
「よっ!悠太流石!」
「いや〜、トップバッターで歌うのはやっぱ最高やね。」
「悠太歌上手いもんな。」

悠太は高らかに歌い凄い気持ち良さそうだった。悠太が歌い終わり次は誰が歌うのか?

「ほら、次優希お前だ。」
「だから何で俺なんだよ?」
「優希歌えって。」
「冗談じゃねえよ、俺そんな歌えないし…」
「下手でもいいじゃん。今日はみんなで最後まで楽しむのが目的なんだから。」
「愛佳ちゃんの言う通り。」
「マジかよ…」

マイクを渡され優希は困ってしまった。しかし、周りは優希の歌声を聴きたがっている。こうなってしまえばもう歌うしかない。

(どうしよかなぁ…歌える歌がないんだよなぁ…仕方ない、これにしよ。)
「優希早く!」
「決めたからもう…ちょっと待てよ。」

優希が入れた曲はなんと…

「え!?優希、倉木麻衣なんか歌えるの?それも、“Secret of my heart”って。」
「優希、女の人の曲歌えるの?」
「ちょっと集中させろって。」

曲が流れると優希は歌い出した。すると、優希の歌声にみんな黙ってしまった。悠太が麻友に話しかける。

「普通に優希上手くない?」
「うん。」

一方の優希は歌に集中して周りなんか見れなかった。

「だぁー…歌い終わった。」

一気に疲れが出た。優希は今、かなりの脱力感を感じた。

「優希上手いじゃん!」
「なんだよさっきまでの前振り。」
「歌える歌が少ないんだよ。」
「そうやって言えよ。普通に上手いじゃねえかよ。」
「じゃ、次は誰が歌う?」
「はい!」
「お、美瑠ちゃんか。」
「私、岡田さんとデュオで。」
「いいね。」
「おい美瑠、私は歌なんか…」
「岡田さん歌おうよ。」
「止めろ美瑠、私は歌なんか…」

岡田もどうも歌いたくなかったようだが、白間に無理やりマイクを渡され、歌わざる得なかった。それゆ他所に優希は部屋を出ようとした。

「どこ行くんだ優希?」
「喉乾いたんだよ、だから飲み物をな。」
「優ちゃん私も行くー。」
「なぁ優希、次俺と一緒に歌おうぜ?」
「気が向いたらな。」

そう言うと優希と美桜は部屋を出た。

夜明け前 ( 2018/09/01(土) 17:30 )