第4章
06
「ここか、これで中入ったらまさかの麻友とかだったら…ややこしくなるな。」

優希はようやく部屋に到着し中に入った。果たして美桜はいるのか?それともこの部屋に麻友がいるのか?

「あれ?あ…中にまだドアがあるパターンね。」

気を取り直し、優希はドアを開けた。

「え…」
「優希君、遅かったね。」
「あ…あれ?」

優希は一旦入り口に戻った。そして部屋の番号を確認する。

「美桜ここだよな?何で麻友がいる?」

優希は頭をフル回転させた。まさか美桜にいっぱい食わされたか?

「はめられたか?」
「優希君何してるの?」
「何で麻友がいるの?」
「いたらだめ?」
「だめというか…別々じゃなかったのか?」
「優ちゃん遅〜い。」

奥から美桜が来た。どうやら美桜はもうシャワーを済ませたようだ。

「美桜、何で麻友いるの?」
「だって悠太君いないのに麻友ちゃん1人って可哀想じゃん。だから、一緒の部屋にしよって。」
「別の部屋だったんだけど、美桜ちゃんがね…」

実は優希が部屋へ向かう数分前…

「ねぇ麻友ちゃん。」
「何?」
「やっぱ一緒の部屋にしよ?」
「一緒って…優希君いるのに?」
「麻友ちゃん1人じゃ可哀想だよ、優ちゃん別に気にしないと思うし…麻友ちゃんどう?」
「美桜ちゃんがいいなら…」
「よし決まり!」

そして優希が部屋に到着し中に入ったが、美桜はシャワーを浴びており出てこれず…だから、優希は麻友がいたのに驚き入り口に戻ったのだ。

「そういうことなら俺に言えよ。」
「いいじゃん別に。優ちゃんサプライズ好きでしょ?」
「心臓に悪いサプライズは嫌いだ。」
「優ちゃんそう言わないでさ。あ、麻友ちゃんシャワーいいよ?」
「ありがと。じゃ、私入るね。優希君覗かないでよ?」
「覗かねえよ。」
「優ちゃんほんとかなぁ…」
「お前が疑ってどうする?」

麻友はシャワーを浴びに行った。

「ふぅ…ラブホなんて久々。」
「だろうな。」
「ねぇ優ちゃん。」
「何?」
「例の件話した?」
「あ…まだ誰にも。」
「優ちゃん早く言ってよ?」
「う…うん。」

卒業式までまだ3週間ほどあるが、優希はまだ“例の件”を伝えきれずにいた。

夜明け前 ( 2018/07/17(火) 17:33 )