第4章
02
「優希、ちょっと来なさい。」
「え…俺?なんか用?」

優希は玄関に向かった。すると玄関にいたのは…

「美桜!?」
「久しぶり優ちゃん!」
「最近連絡なしに来るの多いなぁ…」

なんと美桜だ。美桜は二学期に福岡の学校を辞め、現在はフリー。フリーだが、美桜の父親は会社の社長でお金持ち。美桜はその父の娘だ。学校を辞めたのは父の付き添いで行くことが多くなってきたので、止むを得ず学校を辞めたのだ。

「優ちゃん元気だった?」
「まぁ、俺はいつも元気だけどさ。せめて連絡はしろよ、毎回毎回何もなしに来るのはやめろって。」
「えーいいじゃん。サプライズあった方がいいと思うけどさ。」
「そうかなぁ…」

優希が美桜と話してるのを見ていた優子は…

(優希と話してる子は誰?まさか優希の彼女?)
「ちょっと優希来なさい。」
「へ?」

姉に連れられ優希は問い詰められた。

「あの子は誰?」
「あれ、義姉ちゃん知らない?」
「知るわけないでしょ?ずっと家にいたわけじゃないし。まさかあんたの彼女?」
「そうだよ。朝長美桜、今福岡に住んでんだけどさ。」
「前に言ってたあんたの彼女ってあの子?」
「そうだよ。」
「可愛いじゃない。何よ優希、あんた女を見る目いいじゃん。」
「失礼だなぁ。」

優子と優希はまた美桜のところに戻った。

「優ちゃん?」
「あぁ悪りぃ。紹介するわ、姉ちゃん。」
「初めまして、大島優子です。優希とは血は繋がってないんだけど、小さい頃は私にべったりしててね。」
「余計なこと言うなよ。」
「優ちゃんお姉ちゃんいるとは思わなかったなぁ。」
「まぁ、敢えて言ってなかったし。」
「えーと、名前は…」
「朝長美桜です。その…優ちゃんと付き合ってます。」
「美桜ちゃんね、可愛い名前。でも、何で“優ちゃん”って呼んでるの?」
(そういや、美桜普通に言ってたな。まぁ…美桜のお父さんとお母さんは『仲がいいなぁ。』とは言ってたけど、俺完全にスルーしてたわ。)

福岡行った時美桜は親に優希を紹介した際…

「お父さんお母さん、優希来たよ。」

当初はそうだった。だが、美桜が優希を“優ちゃん”と呼ぶ癖がついてしまい、最終的には“優ちゃん”と呼んでいた。今回も始めは“優希”と呼ぶかと思ったが、始めから優ちゃん…優希も今回ばかりは完全スルーだった。

「いや、まぁ…彼女だし、別にいいんじゃないかって…始めは違ったけど、もう癖がついてたからさ。な、美桜?」
「そ…そうなんです。」

美桜は恥をかいたのか、動揺が隠しきれていなかった。だが、優子は羨ましそうに優希・美桜を見て…

「ふぅ〜ん、仲がいいこと。私を無視して話してたんだし…私は蚊帳の外か。」
「違うって義姉ちゃん。」
「ま…美桜ちゃん上がって。優希と付き合った理由とか聞きたいし。優希じゃなかった、優ちゃんね。」
「ここにも馬鹿にしてるのがいたよ…あーあ、きっと義姉ちゃん父さんとかに言うんでしょ?」
「さあね、早くお義母さん帰って来ないかなぁ…」
「優ちゃんごめん。」
「いいけどさぁ…とにかく部屋入ろ。」

3人は部屋に入った。

夜明け前 ( 2018/07/03(火) 20:36 )