第3章
08
一方、岡田を探しに行っている優希達だったが、ここへ来てどこに岡田が拉致されたかわからなくなった。助けに向かったのはいいが、どこにいるか全く見当もつかなかった。

「岡田さんどこにいるんだろう…」
「探しに来たのはいいけど、どこにいるか全くわからない。」
「白間、岡田がどこにいるかって…わかんないか。」
「私もそこまでは…」

このままでは見つかることは出来ない…と思っていたが、愛佳が何か見つけたようだ。

「ねぇあれ、電気点いてない?」
「確かに。行ってみるか。」

優希達は電気の点いてる部屋に向かう。すると…

「おらぁ、早く咥えろ!」
「さっさとしろよ、元生徒会長さんよー!」

誰かの声だ。中にどうも岡田がいる。岡田はここに拉致されていた。

「おい優希、今の聞こえたか?」
「ああ。」
「まさか岡田さん…男数人に…」
「そのまさかだな。悠太、いいか?」
「よし!」

優希と悠太はドアを思いっきり開けた。すると中では…

「うわっ臭!」
「何だよこれ…」
「岡田さん!」
「………」

嫌な予感は的中した。岡田は拉致された男数人にやりたい放題にされていた。服は精液だらけ、部屋中にイカ臭い匂いが漂っていた。

「おやおや、誰かと思えば優希君か。一体何しに来たのかな?」
「お前ら…岡田に何したんだよ?」
「こいつはな、俺らを馬鹿にしてたからよ、好き勝手してこうさせたのさ。おかげですごく気持ちよかったぜ。」
「酷い!岡田さんをおもちゃみたいに扱うなんて…」
「こいつが悪いんだ!元生徒会長だからって調子に乗るからよ!」
「呆れた馬鹿達ね。」
「悠太…愛佳達を頼む。」
「優希、またお前…」
「その時はその時だ。俺は尚達が来るまでなんとか食い止める。」
「わかった。」

ついこの前停学を解除されたばっかだが、今回ばかりは本当に見逃すわけにはいかなかった。優希は岡田を攫った連中に殴りにかかった。

「突っ込んで来る馬鹿かよ!」
「卑劣な野郎ども!」

人数からして不利なのは優希にはわかっていた。だが、ハナから諦めるつもりはなかった。優希は雑魚ども蹴散らした。

「なかなかやるじゃねえか。だが、俺を甘く見ちゃ困るぜ、優希ちゃんよ。」
「誰がお前なんかを…ぶっ殺してやる!」

優希は拳を握りしめ殴ろうとした。が…

「優希、後ろ!」
「え…」

1人の雑魚が優希の足を掴み、優希はリーダー格の男に腹蹴りを食らわれた。

「ぐはっ…」

優希は蹲り、しばらく立ち上がることが出来なかった。悠太は助けに向かいたかったが、愛佳と白間を見放す訳にはいかなかったため、動けなかった。

「ヘヘっ、視野が狭いよ優希ちゃんよ。折角助けに来たのにねー、残念だけどあの世に逝ってもらうよ、おりゃー!」
「ふっ…馬鹿め!」

優希は交わしお返しと言わんばかりに腹蹴りを食らわした。

「ガハッ…う…」
「甘く見るなって言ったの、お前だったよな?俺も甘く見ちゃ困るぜ。」
「生意気な…今度こそ殺してやる!」
「馬鹿のひとつ覚えが…」

優希は交わし最後はかかと落としを食らわせ、男は床に倒れこんだ。

「ぐはっ…何故だ…」
「はぁ…はぁ…」
「優希ー!」
「遅いじゃねえか…尚。」

ようやく尚達が来た。ギリギリのところだった。

「優希、大丈夫?」
「俺の心配より、岡田だ。」
「あんたに言われなくてもわかるわよ。あんたも意地張らないでいいんだから。」
「意地なんかまった…」

優希は倒れかけそうになったが、愛佳が支えた。

「優希も満身創痍だったみたい。」
「強がるとこはいつまでも変わらないな。」
「この男達はうちが対応するで、さっしー生徒らを。」
「うん。とにかく岡田さんと優希君を保健室に。」

意識を失った優希を連れ、一行は保健室に向かった。

夜明け前 ( 2018/06/23(土) 18:00 )