第5章
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「ただいま。」

2週間振りの自宅に到着。玄関を開けると珍しく母が出迎えていた。

「おかえり。福岡楽しかった?」
「うん。母さん珍しいね、出迎え。」
「たまたま玄関片付けてただけよ。それより外寒かったでしょ?中入りなさい。」
「はーい。」

身震いしながら優希は部屋の中に入った。部屋には父親と美音、それに遥がテレビを見ていたが、優希を見ると美音は一目散に飛び付いた。

「お兄ちゃんおかえり。」
「ただいま。」
「案外帰って来るの早かったな。」
「そうかなぁ…普通だと思うけど。」
「優希君おかえり、美桜元気だった?」
「ああ、相変わらず元気だったよ。冬なのに元気はつらつだったよ。」
「美桜らしい。」
「お兄ちゃんお土産は?」
「すぐ土産かよ…はいよ。」
「わーいわーい。お兄ちゃんありがとー。」
「お前だけじゃないからな。」
「小うるさいぞお兄ちゃん!」
「全く…」

久しぶりに帰って来ても美音のノリは変わらなかった。こんな笑顔な美音はほんと久々だった。だが、優希には近いうちに家族に伝えなくてはならなかった。

(福岡に住むこと…いや、相談しないとな。やけど、恐らく許されはしないな。今回は親がいない時に決めたことだから仕方ないけど、今度ばかりはそうはいかないだろうなぁ…ま、焦る必要ないし。とりあえずは部屋で寝よ。)
「母さん、洗濯もん置いとくから…」
「疲れてるんでしょ?寝て来なさい。」
「あ…でもママ、お兄ちゃんの部屋…」

美音が何か言いかけようとした時には、優希は上に上がっていた。

「ふぁ〜あ…新幹線の中で寝たけど、まだ眠いや…爆睡するだろな。」

そう独り言を言いながら、優希は部屋に入った。だが、入った瞬間優希は一気に目が覚めた。

「え…」
「あら、優希おかえり。」
「何で…」
「久しぶりね、逞しい青年になったじゃない。」
(何でいるの?)

優希は呆然と立ち尽くしたまま、一歩も動けなかった。美音が慌てて部屋に来た時は手遅れだった。

「遅かった…」
「どうしたの優希?呆然と立ち尽くして…」
「何で…何で優子義姉ちゃんがいるの?」
「いたらだめなの?」
「お兄ちゃん…実は優子義姉ちゃん、お兄ちゃんが帰って来る2日前に帰って来たの。だけど、部屋がなくてお兄ちゃんの部屋に…」
「優子義姉ちゃん…」
「優希?」
(懐かしい…俺、優子義姉ちゃんが…)

優希にとって優子義姉ちゃん…大島優子は一体なんなのか?

■筆者メッセージ
義理のお姉ちゃんの正体は大島優子でした。まぁ…今年の総選挙でりりぽんの結婚宣言した時にね?Fから始まる4文字で何かと話題になったからというので、義理のお姉ちゃんという形で出しました。後は、優子ちゃんが卒業した時にみーおんを後継者として言っていたのもあったというのもあるんですけどね。というわけで、次章で冬休み編完結します。
夜明け前 ( 2017/12/22(金) 19:46 )