第5章
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「やっと着いた。久しぶりの東京や。」

約2週間振りの東京だ。優希は改めて思った、福岡も栄えてるが東京が一番栄えてると思った。

(やっぱ東京凄いな。)

着いて早々、優希は美桜にメールをした。『東京着いた。』と。すると、数秒後にメールが返ってきた。『3月福岡だよ。』と。あまりの返信の早さに優希はつい周りを見渡してしまった。

(こっそり付いて来てるわけないよな?)

探そうと思っても、人が多すぎてわからない。多さに諦め優希は駅を出た。すると…

「ん…ん?真央じゃん。」
「え…」

ほんの偶然だった。駅の近くで真央を見つけてしまった。真央も驚いて口を開けたままだった。

「ゆ…優希!?何でいるんだよ?」
「いたら何か問題か?」
「違うけど、帰って来るならメールか電話ぐらいしろよ。」
「だって面倒だったし…」
「相変わらずお前らしいな。それより、福岡楽しかった?」
「まあな。」

家路を歩きながら優希は福岡でのことを話した。真央はすごく興味深々だった。

「へぇ〜クリスマスはデートしたのか。」
「ま、それくらいするさ。正月もデートしたし。」
「初詣デートか。普通の服で?」
「それがさ、何がどうなったかわからないけど、袴と着物で初詣行ったんだよ。」
「そうなん?完全に成人式みたいじゃん。」
「美桜の両親が準備してくれたからさ、着ないわけにもいかなくてさ。」
「確かに。でも、羨ましいよ。」
「そうか?」

真央は優希がすごく羨ましかった。自分はというとこの冬はどこにも行かなかった。行ったとするなら隆史と初詣行ったぐらいだ。高校最後の冬休みだったのにどこにも行かず…家族で旅行にも行かなかった。

(お忍びとかも理想だけど…やっぱちゃんとした恋したいよな…)
「なぁ優希。」
「何?」
「福岡でさ、美桜ちゃんの友達とか会わなかったの?」
「美桜の友達…えーとな、初詣の時に会ったな。確か名前は…芽瑠ちゃんとまどかちゃんと菜摘ちゃんだったかなぁ…」
「その子らどんな感じ?」
「どんな感じって…まさか狙ってるのか?」
「見てみたいじゃん、美桜ちゃんの友達さ。」
「見たらいいじゃん、お忍びで福岡行けば。」
「いや〜それもありだけど、なんか一人でってなると…なんか恥ずかしいんだよね…」
「なんだよそれ。いいや、ここから別だし。また始業式でな。」
「おう。みんなに言っとこか?」
「余計なことすんな。」
「わかったよ…なら始業式な。体調崩すなよ。」
「また余計なこと…」

真央は手を振って帰って行った。

(確かに2学期あいつに迷惑かけたからな。けど、いちいち言わなくてもいいだろ…)

優希はため息をつくと、家に向かって行った。

夜明け前 ( 2017/12/22(金) 07:34 )