第1章
02
「着いたよ、ここが私の家。」

優希は初めて美桜の家にやって来た。美桜が福岡に引っ越して来てからは初めてだ。夏休みは前にも述べたが、旅行で来ただけ。

「さ、入って優ちゃん。」
「うん。」
「お父さん、お母さん優希来たよ。」

優希は福岡に引っ越した美桜の家に着いた。それと、美桜が自分のこと『優ちゃん』って言うか不安だったが、『優希』と言ったので安心した。

「おー優希君久しぶりだね。元気だったかい?」
「お久ぶりです。元気でしたよ。」
「あらー優希君、よく来たね。」
「さ、優希上がって上がって。」

手招きされながら優希は部屋に入った。

「いやーほんと久しぶりだね。」
「そうですね。」
「まさか美桜と付き合ってるとは思わなかったな…」
「そうですよね。一回自分がフった相手ですからね。」
「美桜迷惑かけてない?美桜甘えん坊だから…」
「ちょっとお母さん…」
「まぁ…確かに甘える時もありますけど、それも美桜のいいとこなんで…全然迷惑じゃないです。」
「そうか。優希君は器が大きいから安心したよ。」
「いやいやそんなこと…」

少々恥ずかしかったのか、美桜は下を向いたが怒ってはなかった。

「じゃ、母さん行くか。」
「そうね。」
「え…どこか行かれるんですか?」
「実は今日、俺と母さんの結婚記念日なんだよ。」
「それはおめでとうございます。」
「だからね、今日から2泊3日で旅行行くの。優希君が来たら行こって、お父さんと話してたのよ。」
「そうだったんですか…そうとも知らず…」
「優希君が謝ることじゃないよ。優希君、美桜のことよろしく。」
「はい。」
「あまり優希君に迷惑かけちゃダメよ?」
「わかってるって…」
「じゃ、行ってくるな。」

そう言って美桜の父と母は旅行に行った。

(結婚記念日か…俺も美桜と結婚したら新婚旅行行って、記念日になったら旅行行くんだろうな…)
「もうお母さんったら…」
「何に怒ってるの?」
「お母さんね、私がまだ子供みたいにいつもああやって言ってくるの。私だってもういつまでも子供扱いしてほしくないのに…」
「仕方ないさ、可愛い娘だったらそうなるかもしれないじゃん?」
「でもさ…」
「俺はそういう美桜好きだけどね。」
「もう優ちゃんまで…でも、優ちゃんありがと。我儘な私が好きって言ってくれて…」
「可愛いよ美桜。」
「もう…優ちゃん恥ずかしい…」

美桜は恥ずかしくなり優希に抱きついた。今からは優希と美桜だけの時間だ。

夜明け前 ( 2017/09/09(土) 05:49 )