美しい桜と音-2学期編-










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第8章
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翌日も珠理奈先生の国語だった。だが、昨日と違うのは悠太だ。昨日の反省が結構効いたようで、別人みたいだった。全く喋らず黙々と机と向き合っていた。それを見た優希は感心したが、同時にあまりの豹変ぶりに引いてしまった。

(あんなに変わるもんか?珠理奈先生の前だからってのもあるけど…しかし、こんな静かな悠太初めて見るわ。やれば出来るじゃん…ま、当たり前だけど。)

一方、珠理奈先生も悠太の変わりようには驚いていた。

(やれば出来るのね悠太君は…見た目と変わらないわね。)

だが、まだ珠理奈先生は優希の様子が気がかりだ。

(どうも優希君が気になるのよね…今日も放課後呼ぶしかないわね。観察しないと…)

そして、授業が終わった。

「お前結構静かだったな、珠理奈先生の前だからからか?」
「違うって、お前に迷惑かけたくないからな。みんなにもだけど、一番お前に迷惑かけたし今までな。」
「なんかお前らしくないな…」
「何でがっかりすんだよ…いいや、ジュース買おうぜ。」
「おう。」

優希と悠太はジュースを買いに行こうとした。

「ちょっと向井地君。」

だが、優希には珠理奈先生の声は聞こえなかった。そのまま教室から出てしまった。

(行っちゃった…放課後までに声かけないと…)

一方、ジュースを買いに行った優希と悠太…実は珠理奈先生の声は聞こえていた。だが、敢えて聞こえなかったフリをしたのだ。

(やな予感しかないからな…どうせまたお呼び出しだろ?なんもしてないのにお呼び出しはごめんだ。)

優希には見え見えだった。この食い違いは暫く続きそうだ。

夜明け前 ( 2017/08/07(月) 10:33 )