美しい桜と音-2学期編-










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第6章
07 散々の優希
「んん…ん?ここは…保健室?」

優希は目を覚ますと、周りを見渡した。見覚えのある場所、どう見ても保健室だ。だが、その場にいる人がいない。

(上西先生は?どこにいんだ?)

周りを見渡しても上西先生はいない。優希をほっといてどこか行ってしまったのか?と…

「あ、優希君気付いた?」

上西先生が来た。その後ろには悠太・真央・隆史、さらにはないか白間の姿もあった。

「優希大丈夫か?」
「ああ。」
「しかし優希が媚薬で意識失うとなは…」
「すまん。この時間ってことは授業終わったよな?」
「うん。お前への宿題はたっぷりある。」
「マジかよ…怠い。あれ…白間だよな?」

一番後ろにいた白間は隆史の後ろに隠れた。隆史は優希を宥めた。

「あまり睨むなよ。こいつは謝りに来たんだから。な?」
「うん…」
「睨んでねえよ。珍しいなって思っただけ。」
「さ…謝るのはここじゃなくていいから、帰りなさい。」
「はーい。優希行くぞ、荷物持って来たから。」
「すまんな。」

優希はベッドから出た。5人は下駄箱に向かう、ちょうど愛佳と麻友も帰るとこだった。

「優希…大丈夫なの?」
「なんとかな。」
「よかった…あんたの所為で…」
「愛佳ちゃん落ち着いて、嫌ってるのはわかったから、睨むのはだめだよ。」

隆史は慌てて愛佳を宥めた。白間はさらに俯いた。麻友はそっと側により白間を慰めた。

「あの子、優希君が今でも好きなの。彼女いるのは知ってるよね?」
「うん…」
「だけど、ずっと優希君が好きなの。だから、優希君に何かあったら彼女みたいに睨んじゃうの。」
「そう…なんですか…」
「だから、今回の件も感情が表に出ちゃったと思うの。」
「あの…私、向井地君に…謝りたいです。」
「それはわかるけど、今は止めた方がいいよ。理由はわかるよね?」

言わなくてもわかった。愛佳がいる、恐らく愛佳は自分のことを嫌ってる。その状態で接近したら間違いなくやばい。その時、麻友に提案が浮かんだ。

「そうだ、優希君と2人きりになったら?」
「え…でも、あの子が…」
「大丈夫。私が中に入るから安心して?」
「は…はい。」
「ねぇ、優希君。」
「ん?」
「あのさ、これから時間ある?」
「あるけど…」
「ならさ、私とゲーセン行かない?」
「麻友?」
「ちょーっと話したいことがあるんだよね。」
「まさか…俺と別れるとか…」
「悠太ないから大丈夫。」

というわけで、悠太らと別れ優希・麻友・白間はゲーセンに向かった…わけではなく…

「これでいいかな。」
「ん?麻友どういうことだ?」
「美瑠ちゃん、優希君に謝りたいんだって。ほら、あの場だったららぶたんいたから、やばかったでしょ?」
「確かにな。そういうことか、だから『ゲーセン行く。』って言ったのか。」
「ごめんね。後は、美瑠ちゃん大丈夫だよね?」
「え…う、うん…」
「白間、行くか。麻友ありがとな。」
「結果がいいことを祈るよ。」

優希・白間はゲーセンではなく、優希の家に向かった。

夜明け前 ( 2018/01/08(月) 15:59 )