04 拉致された優希
次の日、いつも通り登校する。昨日よりファンレターは多いのか少ないのか?全くわからないが、学校に着いてからのお楽しみだ。
(少ないことを祈ろ。感謝は感謝だけど、やっぱりウザい…)
内心が出てしまっているが、顔に出さなければいいのだが…
「うわ…今日も多い。」
靴箱を開けた瞬間、ファンレターが雪崩のように落ちた。昨日と同じかそれ以上だった。
(やっぱ嫌だなぁ…)
今の優希には“感謝”という言葉は無くなっていた。“大迷惑”に近かった。
「また多いな。大変だな優希。」
「全くだ。昨日以上にあるんじゃない?」
「かもな。」
悠太が床に落ちたファンレターを拾いながら、量の多さについ苦笑いした。自分はないとはいえ、親友が苦労してるのを見ると、気の毒に思った。
「とにかく教室行こうぜ?」
「そうだな、ここでずっと居ても何も変わらんしな。」
教室に着くと朝早くからファンレターが…
「もう…俺の机はゴミ置場じゃないんだけどな…」
「優希、冗談がきつい。」
「はぁ…少しは俺の身にもなってほしいんだけどな。」
「ま…仕方ねえさ。お前のファンが増えてしまったんだしよ。」
「ファンって…やっぱファンクラブ出来たんか?」
「それは知らんけど、こんだけ多いと密かに出来てんじゃないか?」
「マジかよ…マジで福岡に逃げよかな…」
「美桜ちゃんとこにか?」
「俺はそのつもりなんだけどよ…」
「まあまあ、ファンクラブはないことを祈ろ。」
「祈ってどうこうないだろ…」
その後、悠太に連れられジュースを買いに行ったが、優希はあまり動きたくなかった。何処かに行きゃ何か渡される。確かに喉が渇いたが、自分は動かなくていいから悠太に買ってきて貰えばいいのだが…そうもならない。
(はぁ…ほんといつまで続くんだ?)
ぼーっとしていると、突然優希は誰かに腕を引っ張られ姿が消えてしまった。
「さあて、教室…あれ?優希どこ行った?おーい優希…」
突然消えた優希に探し回る悠太だが、どこにも優希の姿は見えない。先に帰ったことはないと思うが…
「あいつどこ行ったんだ?」
悠太は探しに行き優希から離れてしまった。
「あいつ行った?」
「行ったみたいね。」
優希は2人の女に拉致られていた。
「はぁ…はぁ…苦しかった。」
「向井地優希、今から美瑠様のとこに行くぞ。」
「は?みる様?誰だよみる様って…」
「とにかく来い。」
「いや…ちょっと待てって…」
優希は2人が言うみる様のとこに連行された。