02 ファンレター問題?
授業中も優希は全く集中出来なかった。周りにはビニール袋がいっぱい…ゴミではない。ファンレターだ。置いとける場所がないので、袋に纏めたのだがあの後もたくさん貰い、袋が増え続け3袋ある状態だ。
「あら…優希君の机すごいことになってるわね。」
指原先生が他人事のように言ってきたが、優希は誰でもいいから助けが欲しかった。
「だぁー…」
「優希の机何?」
「朝からずっとだよ。ファンレター貰いっぱなし。羨ましいっちゃ羨ましいけど。」
優希の机を見て愛佳は驚いた。驚かない人はまずいないだろう…
「はぁ…」
「優希もお疲れだね。」
「全くだ。」
「あれを今日持ち帰るんだろ?」
「捨てちゃだめかな?」
「バカ言え。ありがたく思わないとだめだろ。」
「こんなにもいらないよ…」
段々と声のトーンが低くなっていく優希を見て、悠太は笑った。
「元気出せよ。」
「元気だけど、これがしばらく続くと思うと…」
「我慢しろって。今日だけかもしれないだろ?」
「そうであってほしいけど…」
すると、麻友・隆史・尚が優希達のとこにやって来た。
「なぁ、お前ら聞いたか?」
「優希のファンレターの量か?」
「うわ、すごい数…そうじゃなくてさ。」
「隆史がノリツッコミだよ。」
「真面目な話なんだって、勝の話なんだけどさ。」
「勝がどうしたんだよ?」
“勝”と聞いて、優希の顔が険しくなった。真央が慌てて宥めた。
「すぐ表情出すなよ。」
「悪りぃ。あいつにいい印象ないから。」
「それは同じだ。」
「それで、勝が何なのよ?」
「あいつ学校辞めたってよ。」
「勝が?」
どうも優希に怪我を負わせた勝は、学校から去ったようだ。まあ、文化祭で凶器を持って暴れたら、そりゃそうなるだろう…
「例の件か?」
「ああ。厳重注意したみたいだけど、全く反省する気がなかったみたい。」
「それで学校が勝に退学届を出すよう言って、渋々退学したんだってさ。また暴れたみたいだけど。」
「懲りない奴だね。」
「ま…これで平和な学校生活送れるからいいんじゃない?」
「そう思ってるのはお前だけだよ。」
「今は優希のファンレターの件が問題でしょ?」
勝が去ったのは正直どうでもよかった。今は優希のファンレターをどうすればいいのかが問題だった。