美しい桜と音-2学期編-










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第5章
09 美桜の事を思って…
勝と一悶着あった後、優希は体育館から出てブラブラしていたが、美桜は勝の一言が忘れられない…

『お前が負けたらその女俺が犯してやるからな。』

冗談であってほしいが、ほぼあり得ない…となると、やっぱり怖かった。

「優ちゃん…」
「ん?」
「私…帰りたい。」
「え…」

優希はびっくりした。が、さっきの件で美桜がビビっているのはわかった。

「帰りたいか…まあ、俺も喧嘩売られたら買っちまうからな…」
「優ちゃん…」

今にも泣きそうな美桜を、優希はそっと抱きしめた。

「あいつの言ったことはほぼマジだろうな。けど、あいつに勝てばいいんだ。勝つ保証はないけど、グズグズしてたってだめだし、あんなクズ野郎には勝つ。美桜には触れさせねえ!」
「優ちゃん…うん。ずっと優ちゃんと一緒にいたい。優ちゃんと幸せになりたい!」
「ああ。」
〈みなさーん、いよいよカップル選手権決勝が始まりまーす。決勝に残ったお3組は集まってくださーい。〉
「行くか美桜。」
「うん。」

体育館に引き返し、優希と美桜は体育館裏に到着した。既に悠太・麻友がいたが、悠太の顔には血の気は通ってなかった。

「ほんまに体育館のステージで死ぬかもな。」
「優希君まで…」
「優ちゃん緊張してきた…」
「勝つぞ。」
「おやおや、調子乗ってる優希君じゃない。悪いけど、この決勝はもらった。勝算があるからな、お前の負けに変わりはない。せいぜい頑張れよ。」
「ふ…勝手に言っとけよ。お前が負ける可能性忘れんなよ。」
「お前との違いを見せてやる。一目瞭然ってやつをな。」
「…………」
「えー皆さん、ステージ上にお上がりください。」

3組はステージ上に上がった。いよいよカップル選手権決勝が始まる。勝つのは優希か?それとも勝か?大穴で悠太か?

夜明け前 ( 2018/01/08(月) 15:49 )