美しい桜と音-2学期編-










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第5章
04 選手権エントリー
そんな中、美桜に『トイレ行ってるかは先行っといて。』と言った咲良はというと…

(良かった…尚君からメールが来てさ。来なかったらあのまま優ちゃん達と合流してたよ…)

トイレなんか行かずに体育館に向かった。体育館の近くには…

「来た来た。」
「ごめーん。待った?」
「ううん、優希達に気付かれてない?」
「大丈夫。美桜と一緒に来たけど、美桜には誤魔化したから大丈夫。」
「なんか…優希達に申し訳ないな。」
「大丈夫だよ。バレたらバレたでいいじゃん。」
「そうだよね、よし。」
「行こ?」

尚・咲良も出発した。

「尚はどこにいんだろな?」

ちょうど体育館近くにいた悠太・麻友だったが、咲良と待ち合わせてたなんて知らないし、そんなとこにいるとも思わなかった。

「さあ…来てるのは間違いないんだったらさ、別に私達が探さなくてもいいんじゃない?」
「確かにそうなんだけどさ…」

どうも悠太は腑に落ちないが、このままずっと探していたらせっかくの文化祭が楽しくないのも事実だ。

「ばったり会うのを祈ろ。」
「そうだね。」

すると、麻友が面白い広告を見つけた。

「ねぇ、あれ見て?」
「ん?何…」

そこにはこう書いてあった。

“自慢のカップル募集。
彼氏・彼女いる人は今すぐエントリー!
昼13:00から会場体育館にて選手権開催!”

これに意外と乗り気だった麻友は悠太を連れてこうとした。

「流石に俺は…」
「なんで?悠太らしくないじゃん、ねえねえ?」
「ううん…」
(俺こういうのは得意じゃないんだよな…でも、麻友が乗り気だからな。やるか…)
「行くか。」
「うん。」

しかし、エントリーする場所に向かうと…

「え…」
「お前らも出るの?」
「やっぱり出るか。どうせお前が連れて来たんだろ悠太?」
「優希がいるじゃん…」

既に優希・美桜がエントリーしていた。こういうのに悠太以上にエントリーしない奴が、まさかのエントリーをしていて悠太は頭を抱えるしかなかった。

「違うよ、私が『行こ?』って誘ったの。でも、私も優希君が出るとは考えてなかった。」
「なんか楽しそうと思ったし…美桜も乗り気だったから…な?」
「うん。悠太君に麻友ちゃん、私達が勝つかもね?じゃあね。」

優希・美桜は去って行った。

「はぁ…思わぬ誤算だな…」
「うん…予想もしてなかったよ。」
「どうする?」
「私達は楽しんだらいいんじゃない?それでもし…優希君と美桜ちゃんに勝ったら、儲けだと思えばいいんじゃない?」
「そうだな。優希達に勝つ自信はないけど…エントリーするか。」
「うん。」

悠太・麻友もエントリーした。果たして勝つのは優希・美桜か、それとも悠太・麻友か?

夜明け前 ( 2018/01/08(月) 15:46 )