05 優希が好きだった
「優希に聞きたいことがあるの…」
「何だよ急に…」
麻衣が優希に聞きたいことは気になってた彼女のことだった。
「優希の彼女さんって、どんな人なの?」
「は?」
「だから、優希の彼女さんってどんな人なの?」
「何言い出すんだよ、別にお前に関係ないだろ?聞きたいことってそれかよ…」
「だって…優希の彼女さんのイメージが全然わかんないから…」
「別にわかんなくていいだろ?てことで帰るな…」
「何で教えてくれないの?」
「教えて何の意味がある?」
「気になるだけ、1つだけでいいから教えて?」
「はぁ…優しい。それでいいだろ?」
「どう優しいの?」
「1つだけって言っただろ?これ以上は言わねえよ、わかったらもう終わりだ。さ、妹待ってるから帰る。」
「ねぇ…もうちょっと私と…」
「あ?さっきからわがまますぎじゃねえか?俺のことも少しは考えろよ?さっきからおかしくねえか?」
「ごめん…優希にどうしても聞きたくて…優希ともっといたかったし…」
「ん?どういうこと?」
「いや…別に意味はその…」
つい本音が出てしまった。麻衣の目は泳いでいた。ここまですると優希もそれほど馬鹿ではない。
「何となく察したけど、お前まさか…」
「その…ごめん。」
「ん?」
「私…今だから言うけど、優希のこと好きだったの…」
「え…何言ってんだ?」
「ほんとだよ、私優希のこと好きだったの…それも一目惚れ…」
「嘘だろ…」
「ううん嘘じゃないよ。ほんとに…優希のこと好きだった。けど、優希女の子たちに追われてたから余計面倒なことになるなって思ったからやめたの。」
「そっか…全然知らんかった。」
「あまりバレないようにしてたの、優希にもみんなにも…それが言えず仕舞いで…それで熱りが冷めたら優希に思い伝えよって思ったけど…」
「塾辞めたからなぁ…」
「うん…結局言えず仕舞い。それでこの前たまたま会って聞いたら彼女いるって…」
「この夏にな。俺もずっといなかったんだよ。いなかったというか、校則で“恋愛禁止”だったんだよ。だから結局は付き合えなかったんだけどな…けど、1学期の終わりぐらいにその校則が解禁になって、んでこの夏に付き合ったんだよ。」
「そうなんだ…優希もやっと思い伝えれたんだ。」
「違う違う。俺は告られた側。」
「え…」
「今遠距離なんだよ。幼馴染でさ、一回俺はその子をフったんだけど、俺への想いは変わってなかったみたいでさ…んでこの夏に会ってさ。」
「そうだったんだ…遠距離だって思わなかったし、そんなことがあったなんて全然知らなかったし…」
「俺もそのことは全然知らなかったからな。それに麻衣が俺のこと好きだなんて全然思わなかったし…」
「うん…」
「そっか。」
「でも、優希幸せそうだし…よかった。」
「麻衣も見つかるといいな。」
「うん。」
「もういいか?1つと言いながらほとんど話したけど…」
「ごめんね。優希ありがと、またどこかで会おうね。」
「またな。」
麻衣と別れ優希は家に帰った。結局美桜のことをほとんど話してしまったが、仕方ない。とは言え、実際会ったことなんてないから、それはそれでいつか会うかもしれない…
「ただいま。」
「お兄ちゃんおかえり。長かったね。」
「買い物長くなってさ、悪かったな。」
「最近お兄ちゃん休みはずっと出かけてるよね。しんどくない?」
「そんなことないけどね。」
「ふぅ〜ん…あ!」
「なんだよ?」
「今日出かけたらさ、さくちゃんに会ったんだけど…」
「咲良に?」
「うん。そしたらさ…さくちゃん誰かに会ったのか急いでその方に向かってたんだよ。」
「咲良が?一体何かあったのかな…」
「う〜ん…」
咲良に一体何が…