02 身代わりの条件
買い物に付き合っている優希は久々に見た麻衣に、
「いつ以来?」
「中2以来じゃない?それも3年に上がる前。」
「そんな前になるか…」
「うん。」
「塾も3年に上がる前に辞めたからな…」
「そうだ、私があんたを庇ったの覚えてる?」
「庇ったって俺の身代わりになったんだろ?」
「だから庇ったんじゃん。」
「まあそうなるか。」
どうも塾で二人は知り合ったようだ。
「懐かしいなぁ…」
「ねえ、優希って今なんかしてるの?」
「なんも。部活なんか2年の途中で辞めたし…」
「辞めたの?」
「親両方働きに行ってるからさ、部活やってたら家の仕事ができないからさ…ほら、妹もいるからさ。」
「そっか…え、じゃあ今も妹ちゃんと二人暮らし?」
「そう。」
「帰ってきてないんだ…」
「うん。最後に帰って来たのは2年のクリスマスの時だったかな…」
「そうなんだ…なんか大変そう…」
「まあ慣れたけどね。」
「優希大変そうだし、私なんか手伝いたい。」
「嬉しいね。」
「優希って彼女…」
「ああ、悪りぃ。俺いるんだ。」
「いるんだ…いいや、優希大変だったら手伝うからね。そうだ…優希と会ったのも何かの縁だし、あの日の約束実行して貰わないと…」
「え…あの日の約束?」
「やっぱり忘れてる…」
あの日の約束とは一体なんなのか?
「約束なんかした?」
「したから言ってるんでしょ?私があんたの身代わりになるって言った時、『デートしてくれるならやる。』って私言ったでしょ?それで優希は『わかった。』って言ったんだよ?」
「そんな話したか?」
「したよ。条件なしで身代わりなんて私が損だから、私も条件出したんだから。」
「そうだったかな…」
「うん。私楽しみにしてたんだけど、途中で辞めたから出来ず仕舞いだったんだからね。」
「それはそうだろうな…」
「だから、今度私とデートね。いい?約束だからね?」
「また急だな…こんなデートデートだと…妹に怪しまれるからなぁ…」
「出掛けるって言えば大丈夫だよ。」
「はぁ…お前は簡単に言うけどなぁ…」
「大丈夫大丈夫。じゃ、よろしくね。」
「ちょ…おい。」
麻衣は去って行った。取り残された優希はただ立ち尽くすだけだった。
「どうしよかな…断れるわけないし…行くしかねえか。」
優希は渋々決断した。