12 ありがと。
その翌朝早く、二人はホテルを出た。
「はぁ…昨日は楽しかったー。」
「そうだな。」
「優希とデート初めてだったし…彼氏が出来たらこんなこと出来るんだよね…」
「そうだな。俺はそう簡単にはいかないけどな。」
「そっか…美桜ちゃんと遠距離だもんね。それはそれで可哀想だね…」
「まあ仕方ないさ、これだけはなんもならねえからな…」
「そう考えると悠太とまゆゆは羨ましいね。」
「かもな。」
「いいなぁ…」
こんな話をしていると愛佳の家に到着した。
「じゃあね優希、また明日ね。」
「明日な、このことは内緒だぞ?」
「うん、勿論。」
「じゃあな。」
「待って優希、最後にキスして欲しいなぁ…」
「何だよそれ…」
「お願い…私が一目惚れした相手だから…」
「そうだな。わかった。」
優希は頬にキスをした。愛佳は唇を突き出していたが、流石にまずいと思ったのか、優希はそれを避けた。
「うう…唇突き出したのに…」
「唇は彼氏とな。」
「私にとったら優希は彼氏なんだけど…」
「わかったから、とにかくお前も新しい恋見つけろよ。」
「うん…」
「そんな落ち込むなよ、大丈夫だって。」
「うん…」
離れたくないのか、優希の手をずっと握っていた。
「愛佳そろそろ…」
「もっといたかったな…」
「ごめんな、じゃあ。」
優希は帰って行った。
「優希ー!」
「ん?」
「楽しかったよ、ありがとー!」
「おう!またな。」
お互い手を振ると優希は帰って行った。
(優希…ありがと。)
愛佳は優希に感謝すると家に入って行った。