美しい桜と音-2学期編-










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第2章
10 愛佳と初デート
そして迎えた土曜日…

「お待たせ!」
「よし、行くか。」
「なんか優希とデート初めてかも。」
「付き合ってないしな、そりゃ初めてでもおかしくないな。」
「今日はさ、私が行きたいとこ行きたい。と言っても買い物だけどね。」
「愛佳に任せるよ。俺はただ付いて行くだけだから。」

というわけでデートがスタートした。だが、愛佳は少々不安だった。

(ほんとにいいのかな…優希は彼女いるのに私なんかと…もし、誰かに見つかって学校に広まって、最悪美桜ちゃんと別れたら…私責められるのかな…)
「愛佳?」
「え…何?」
「気のせいか。」
「やっぱり?」
「何やっぱりって?」
「え…何でもない。」
「変なの。」

その後買い物デートは続いた。優希は何も気にせず楽しんでいたが、デートに誘った愛佳は周りが気になって仕方なかった。

(ほんとに誰も見てないよね…いや、見てるのかな?はぁ…今更だけど後悔してる…優希に申し訳ないことしたな…)
「愛佳?」
「何?」
「さっきから何ぼーっとしてんの?デートが楽しみすぎて寝てないのか?」
「ち…違うよ、ちゃんと昨日寝たから。」
「ほんとか?その割にはぼーっとしてるし、さっきから周りキョロキョロしてるし…悠太らいるのか?」
「違う違う…」
「じゃあ何だよ?せっかく誘ってくれたのに、誘ったお前が楽しんでないっておかしくねえか?」
「そんなことないそんなことない、楽しんでるよ。」
「俺にはそう見えないな。」
「…………」

優希は知ってるのだろうか…誰かに見られてるかもしれないってことを…

「はぁ…買い物済んだし、帰ろか?」
「え…う、うん…」
「なんかまだ行きたいとこあるの?」
「あのさ優希…」
「何?」
「周り気にならないの?」
「え…何が?なんか注目されてる?」
「そうじゃなくて、誰かに見られてるって思わないの?」
「誰かにって…ああ、そういうことか。だからさっきから周りをキョロキョロしてたんだな。」
「そう…優希彼女いるし、もし誰かにデートしてるとこ見つかって学校に広まって、優希が美桜ちゃんと別れたらさ、私が悪いからみんなに責められて…優希に申し訳ないから…」
「そんなこと考えてたんか。愛佳らしいな…」
「だって…私はただ優希のこと思って…」
「俺がそんなんで責めると思ったか?」
「だけどさ…」
「そんなんだったら今日ハナからデートしないって…そうだろ?見つかったら見つかったで仕方ねえじゃん?まあ言い訳に困るだけでさ、俺はそんなんどうでもいいからさ。だからお前が考え込むなよ。」
「優希…ありがと。」
「俺も今だからわかるけどな、お前がそういう奴だって…」
「そうだね。」
「じゃあ帰るか?」
「うん。優希、手繋ご?」
「いきなりだな、まあいいけど。」

優希と愛佳は帰ることにした。

「楽しかったな。」
「うん。優希、また良かったら行こうね。」
「頻繁には無理だぞ?今日はたまたま約束してたからデートしただけだからな。」
「わかってるよそれくらいは。」
「そうか。」
「ねぇ…」
「ん?」
「もう少し一緒にいたい…」
「だから何だよ。」
「ここ…行かない?」
「はぁ…しゃあないな。」
「えへへ…」

愛佳が行きたいと言った場所は勿論…

夜明け前 ( 2018/01/03(水) 15:28 )