09 優希は本番に弱い!?
体育祭は順調に進み、優希たちそれぞれの仕事も難なくこなしていた。そして…
「優希たちリレーの決勝の担当やるんだな。」
「優希君なら問題ないでしょ?」
「そう簡単に言うけどよ…」
「優希顔真っ青じゃん…」
「さっきの放送もさ、『俺やばいわ…』っていきなりトイレ行ったんだよ?」
「優希って緊張しい?」
「まあまあ、優希君ならきっとなんとかなるよ。ほら、優希君次。」
「いくか…」
「優希大丈夫?」
優希・愛佳は向かった。
「大丈夫かあいつ?」
「成功を祈るしかねえな。」
「優希…頑張れ。」
一方…
「はぁ…」
「優希君大丈夫?顔に血の気ないで?」
「ど緊張してるやん。」
「あかん…死にたい…」
「ちょっと優希、しっかりしてよ。私まで緊張移るじゃん…」
「わ…悪りぃ。」
「ほら二人とも、そろそろ始まんで。」
そして実況が始まった。悠太たちは集まって優希・愛佳の実況を聞いていた。
「やっぱ心配したのが間違いだったかな?」
「さすが優希だな、愛佳ちゃんもなかなかだし…」
「二人ともすごいね。」
と、優希・愛佳を褒めていたその時…
「おーっと、にく…二組が抜かれた。」
「ん?あいつ噛んだ?」
「なんか一瞬詰まったよね?」
「やっぱやらかしたか…」
放送席では…
(やらかした…噛んだー!)
(優希…)
(優希が本番で噛むなんて珍しいな。)
重苦しい雰囲気の中、放送は終了…
「………」
「優希、やっちゃったね…」
「やな予感したんだよ、やらかしそうだなぁって…やっちまったよ。」
「お疲れー。」
「みんな…」
「やっぱすごいよ二人。」
「あんな緊張の中やるなんてすごいよ。」
「ま、誰かを除いては…」
「悠太も意地悪だな。優希なんか言えよ。」
「悠太の言う通りだよ、俺は大事な時にやらかすからな…」
「でもさ、落ち込むことないじゃん。誰だって失敗はあるんだからさ。優希君にだって…完璧な人はいないんだから…」
「そうやね、優希の意外なこと知れたし…優希落ち込むなよ。俺だって、ライン引きぐちゃぐちゃのまま終わったから。」
「お前は別だろ…」
みんな優希を励まし、体育祭は終了した。その帰り、優希は愛佳と一緒に帰っていた。
「はぁ…」
「まだ落ち込んでるの?」
「俺だって落ち込むことあるんだから。」
「そうだけど、そんなに落ち込んだら気持ちの方が…」
「悪りぃな。しかし、愛佳は上手かったな、あんなスラスラ読めてさ。俺より才能あるかもな。」
「そう?嬉しいな。優希に褒められると余計かな…」
「そうか。そういや、体育祭前になんか言ってたよな?」
「うん。デートでしょ?でもこれは、優希のやる気を出さすために言っただけだから…」
「いいよ。行こか?」
「え…いいの?てか、優希美桜ちゃんいるのにいいの?」
「バレなきゃ大丈夫じゃない?」
「優希がいいならいいけど…本当にいいの?」
「うん。約束だったし…」
「嬉しい…じゃあ、今度の土曜日ね。遅刻したら許さないから。」
「わかってるって…」
優希は愛佳とデートの約束をした。
(愛佳とデート初めてかもな。)