美しい桜と音-2学期編-










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第2章
06 1日で様変わり
その翌日…

「はーい、じゃあ今日もお疲れ。今からそれぞれの…」
「お疲れでーす。」
「あら…」

優希はいち早く教室を出て行ってしまった。

「やる気あるじゃない…」
「あいつなんかあったんか?」
「わからん…急にやる気出して。」
「まさか…彼女とか?」
「あいつ付き合ってるだろ?」
「違う違う、美桜ちゃんのためにってさ…」
「ないだろそれは、多分愛佳ちゃんの罠に釣られたんじゃない?」
「そうか?」
「それより、俺らも行こうぜ。今日から実践みたいだし。」
「そうだったな。」

一方…

「優希君めっちゃ早いやん、どうしたん?」
「早くやりましょ先生。」
「ちょい待ち、みんな揃ってからや。そんな焦らんでええから。」
「はーい…」

やるからにはやりきりたい、なんだったら全員集まってなくてもしたいとこだが、流石にまずい。優希はイライラしながら集まりを待った。その後ぞろぞろと集まり、その中には愛佳の姿もあった。

「じゃあ今日から実践してくけど、まず先生がお手本見せるでな。」

山本先生自らお手本となって実況し始めた。流石勉強教えてるだけあって、スラスラと話していく。全員が圧倒していた。

「山本先生すごいね。」
「なかなかハードルが高いなぁ…」
「ま、こんな感じかな。じゃ、1人ずつやってこか。」

練習が始まったが、噛む生徒が多数いた。山本先生みたいになりきる生徒がいたが、大体は真似して噛んでいた。

「あかんあかん、みんなうちみたいに真似して失敗してるで?自分らしくやればそれでええんやで?じゃあ、愛佳さんやろか?」
「私ですか?」
「頑張れ愛佳。」
「うん…」

だが、愛佳も始めはよかったが噛んでしまい、最後の方はグダグダだった。

「うーんみんな苦戦しとるなぁ。」
「はぁ…全然ダメだった。」
「お疲れ。」
「次優希だよ。」
「俺か。」
「じゃ、優希君いこか。」
「よし…」

優希の番、ここまで大半が躓いている。優希もそうなるか…と思ったが…

「ラスト一周だ、あーっとここで逆転、そのままゴール!」

優希は言い切った、それも噛まずに…

「ふぅ…」
「すごい…すごいよ優希。」
「すげー。」
「噛まずに言ったよ…」

周りから拍手、山本先生も…

「いやー、優希君あっぱれやね。こんな才能あるなんてな、何でも出来るやん。もう優希君には怖いもんないな。」
「そんなことないですよ。」

優希の実況は悠太たちにも聞こえていた。

「今の優希が言った?」
「うん、らぶたんの後だったから多分…」
「あいつ噛まずに言いやがったよ。」
「すごいね優希君、やっぱ放送でよかったんじゃない?」
「あいつどんだけ優秀なんだよ…」
「こらー悠太、また線が曲がってる。2回目だぞ?」
「す…すいません…」

悠太は線を引くだけに苦労していたが、優希は難なくクリアした。

「一番は優希君みたいにスラスラと言えるのが一番やね。」
「何なの優希、あんだけ嫌がってたのに普通に言っちゃってさ…」
「悪りぃ悪りぃ。」
「ほんとに思ってる?」
「思ってるよ。いや、実はな少しだけやったんやけど、経験したことあってな。と言っても超久々やったんやけどね。」
「そうなんや。でも、すごいよ。」

経験したことあるのになぜ優希はやりたくなかったのか?愛佳は不思議で仕方なかった。

「何でしたくないって思ったの?」
「それはだな…あまりうますぎてもあかんかなって思ってさ…」
「何…自画自賛?」
「違うよ、前な俺だけうますぎてな、一時嫌われたんだよ。『あまりでしゃばるな。』ってな。」
「何で?うまいに越したことないのに…」
「人それぞれだからな。」
「うーん…優希が可哀想。」
「ま…昔だけどな。それがあったからあまりやりたくなかったんだよ。けど、もう昔のこと引きずってもだめだなって思ったから、もうやりきろって思ったんだ。まぁ、あまり人に見せたくなかったてのもあったけどね。」
「ううん…そんなの隠すことないよ、勿体無いじゃん。」
「そう言ってくれると嬉しいけどな。」
「すごい勿体無い。」
「なーにさっきから二人で盛り上がってるん?」
「あ…先生、すいません…」
「まぁええわ、今日はこれくらいにしといて、明日からもうちょい応用とかやってくで、みんな覚悟しといてな?」
(応用か…てか、放送に応用とかあるか?ま…いいか。)

優希の意外な才能がわかったとこでこの日は終了した。

夜明け前 ( 2018/01/03(水) 15:25 )