美しい桜と音-2学期編-










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第2章
05 やる気を上げる方法
翌日…

「んん…朝か。」
「お兄ちゃ〜ん…まだ寝てるの?」
「んん…」
(もう朝かよ。学校行きたくねえな…あいつらに会いたくない…)
「美音参上!ぐうたら寝ているそこのお兄ちゃん、今から可愛い妹が起こしてあ・げ・る。」
「いらねえよ、どこでそんなん覚えたんだよ。」
「なーんだ起きてたんだ、つまんないのー…起きてなかったら私が起こしてあげたのに。」

確かに眠いが、単純に布団から出たくなかった。なんせ、昨日あんなこと言ったから…

【放送なんか絶対やらん。】
【居残りなんかせずにすぐ帰ろ。】

と、言っといて結局昨日話し合いに参加した。

(はぁ…もうやるしかないよな。)

やりたくない放送だが、もうやるしかなかった。そのまま優希は気分の乗らないまま学校に向かった。

(はぁ…あいつらに会いたくないな…)
「おっはよ優希、えらい眠そうだな。」
「そんなことねえよ。」
「そうか?話し合い参加したくせに?」
「え…何で知ってんだよ?」
「勘だよ勘。絶対残るだろうなって思ったから、やっぱ残ったんだ。恥ずかしがんなよ、始めからやりたかったくせによ。」
「そんなわけあるかよ…」
「意地はんなって、おーい隆史。」
「いちいち呼ぶなよな。」
「どうした?」
「優希昨日やっぱ残ったってさ。」
「結局残ったの?」
「まあな…」
「あんだけ言っといて結局残ったのか。意気地なしだな全く…」
「これにはいろいろあったんだよ…」
「担当山本先生だもんな。」
「それも知ってたのかよ…」
「後で聞いたけどな。ほんで、愛佳ちゃんと一緒だろ?」
「それも知ってんのかよ…」
「それは麻友から聞いたけどね。」
「そりゃ帰るわけにはいかないな、結局そう簡単に帰れるわけがないってことだな。」
「他人事みたいに言いやがって…」

優希の予感は的中、朝から悠太・隆史にイジられた。大人しくしてたつもりだったが、大人しくしてても何故か気付かれてしまう、それが優希なのかもしれない…そして、その日の放課後…

「えー、みんな大体わかった?ちょっと難しいかもしれんけど、慌てずにゆっくり実況してくれたらええでな。ほんで、明日から実際にやっていくでな。」

明日から実際に実況練習をし始める。優希は全然やる気が上がらない…

「優希大丈夫?」
「やりたくねぇ…」
「まだ言ってるの?」
「やりたくないもんはやりたくないよ。」
「仕方ないよ、決まったもんなんだし、もう腹くくってさ頑張ろ。」
「嫌だなぁ…」

朝からずーっとやる気を見せない優希、授業も全く身が入らなかった。何度か注意されたが、それでもやる気は上がらない…

「優希。」
「ん?」
「最近溜まってるの?」
「は?」
「お疲れで発散出来てないの?」
「何言い出すんだよ急に…」
「やる気ないんでしょ?」
「それとこれは別だろ?」
「なーんだ、その時だけはやる気あるんだね。」
「違うっつうの。」
「ねぇ、もし“放送頑張る!”って言うなら、体育祭後しない?それならやる気出るでしょ?」
「あほくさ、そんなんで釣られると思ったか?」
「ならいいや、美桜ちゃんに言おうかなぁ…『優希が体育祭やりたくない。』って…」
「美桜だけには言うな、わかったよ。けど、するかどうかは別だ。」
「さっすが優希、悠太たちも応援するよ。もちろん美桜ちゃんもね?」
「今は関係ないよ。」

こうして優希はやけくそで放送頑張ることにした。

夜明け前 ( 2018/01/03(水) 15:24 )