美しい桜と音-2学期編-










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第1章
05 意を決して…
その後指原先生は一旦帰るとまた学校にやって来た。優希の着替えを持って来たのだ。優希の家に寄った時、美音があまりにも兄の帰りが遅いため先生に聞いたそうだ。

「お兄ちゃんは今…」
「優希君は帰れそうにないから、今日は学校に泊まるらしいよ。」
「え…お兄ちゃんが?あの…何かあったんですか?」
「風邪ひいたの。朝よりかは楽になってたけど、無理しちゃだめだから帰ったらだめだってことで、今日は泊まるみたい。」
「そんな…お兄ちゃんに会いたいです…」
「でも、優希君は『美音に心配かけたくない。』って言ってたわよ。」
「お兄ちゃんが…」
「美音ちゃんのこと…思ってるのよ、可愛い妹ちゃんだからね。」
「先生…お兄ちゃんのことお願いします。」
「私は泊まらないけど、言っておくわ。」

そして学校に戻り着替えを届けた。

「優希君、美音ちゃん心配してたわよ。」
「でしょうね。」
「可愛い妹ちゃんなんだから、お兄ちゃんがしっかりしないとだめよ?」
「わかってますって…」
「じゃあ、後は私に任せて。」
「恵先生お願いします。」

指原先生は帰って行った。車に戻る途中…

「あら…悠太君じゃない?」
「え…何で先生がこんな時間に?」
「それはお互い様よ。」

どうやら心配で見舞いに来たそうなのだが…

「え…優希が学校で泊まり?」
「そう。まだ帰れそうにないから、今晩だけ泊まるのよ。恵先生とね。」
「恵先生と…優希が泊まるんだ。」
「ん?悠太君は何を考えてるのかしら?」
「そんなことは…」
「優希君は病人よ?そんな筈はないでしょ?」
「ですよね…」
「とにかくもう帰るわよ。ほら車に乗って…」
「優希…」

変な想像してしまった悠太だが、考えたらあり得ないことだ。風邪ひいてるのにそんなことする筈がない…考えるのが馬鹿みたいだ。悠太は指原先生の車に乗ると帰って行った。一方優希は恵先生と雑談をしていたが、辺りが段々と暗くなってくると…

「やっぱ不気味ですね。夜中の学校って…」
「そうね。滅多に学校なんか泊まらないからね。てか、泊まるとこではないからね。さ、寝ましょ?」
「寝ますか…」

寝ることにした優希だが…

(昼間寝すぎたから寝れねえんだよ…参ったな、こんな時に見るんだよな絶対…)

まだビビっていた。

夜明け前 ( 2018/01/03(水) 15:18 )