01 風邪をひいた優希
ついに始まった2学期…長かった夏休みも終わり、また学校生活が始まる。
「ついに始まったよ…」
「だな。」
悠太・尚はそんな話をしていた。
「悠太宿題ギリで終わったんやって?」
「ああ。優希と山本先生がおらんかったら、俺2学期早々居残りやったわ…」
「最初のうちに終わらせねえからだよ。」
「尚は先に終わらしたん?」
「当たり前だろ。」
「だから麻友とチョメチョメ…」
「そうそう…って悠太、俺に恥をかかすなよ。」
「へへ、しばらく言い続けるからな。」
「だから悪かったって…」
「はは…」
悠太・尚共に思い出したくない出来事だが、悠太は敢えて笑い話にしていた。
「それより優希は?」
「んん?まだあいついなかったっけ?」
「まだ見てない気がするけど…」
そんな話をしていると…
「来た。」
「ていうか…あいつ何か様子変じゃない?」
いつもよりかなり遅く登校してきた優希だが、何故かマスクをしての登校だった。風邪予防かそれとも風邪をひいたのか?
「おい優希、えらい遅いじゃねえか?」
「ああ…」
「元気にしてたか?」
「まあな…」
「マスクなんかして…まさか風邪か?」
「どうもひいたみたい…ああしんどい…」
「大丈夫かよ全く…」
「とにかく寝るわ…」
「ああ…寝たよこいつ。」
「しんどいのに何で来たんだよ?」
そして始業の時間…
「みんなー、しっかり夏休みの宿題してきたよね?」
「してきたよ先生ー。」
「前日終わりましたー。」
「前日って…計画的にしないとダメよ。わかった悠太君?」
「まさか先生…山本先生に…」
「さあね…」
「こぇー…」
「ま、そんな話は置いといて宿題集めるわよ。」
生徒がぞろぞろ宿題を提出する。ある人物を除いては…
「えーと、あれ?一冊足りないけど…ん?優希君。」
「………」
「優希君聞こえてる?」
「……はい。」
しんどそうに優希は体を起こした。
「宿題やってきた?」
「はい…あ、提出か…」
咳こみながら提出した。心配そうに聞いた。
「大丈夫なの?」
「何とか…」
「無理しないでね?」
「はい…」
優希は自分の席に戻ったが、時々フラつき倒れかけそうになった。
「ちょっと優希君保健室に…」
「大丈夫です…」
「大丈夫なわけないだろ?休めよ、気になって勉強出来ねえじゃん。」
「そもそも悠太は勉強しねえだろ?」
「うるせーな…」
痛いとこを突かれ悠太は頭をかいたが、優希に笑う余地なんかない…
(マジしんどい…ガチで風邪ひいたなこれ…)
実は夏休みの間に医者に行こうと思っていたが、普通に治るだろうと思い、結局行かないことにした。だが、結果裏目に出てしまった。
(後の祭りだな…3日前から咳が止まんないだよな…)
「先生、俺保健室連れてきます。」
「俺も手伝うわ。」
「わかった。じゃあ真央君と隆史君手伝ってくれる?」
「了解です。」
「優希行くぞ…」
「ああ…」
真央と隆史は優希を連れて保健室に向かった。
(俺も手伝いに行けばサボれたな…って思ったけど、優希にバレるな…)
ちょっとサボり癖がある悠太は手伝いには参加しなかった。