美しい桜と音-2学期編-










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第9章
05
「まあそういうわけで、彼女とは今から遠距離なんだけどね。けど、明日ぐらいから福岡行くから。」
「そうか。お前にもやっと彼女がな…なあ母さんよ。」
「ええ。早く結婚して孫が見たいわ。」
「ちょっと早いよ2人とも…」

どうも優希の親2人は、優希に早く結婚してもらい、孫が見たいそうだ。まあ、よっぽどのことがない限り美桜と別れることはないが、それはわからない。だが、優希はもう昔の優希ではない…そう信じたいが。

「そうか、優希いつでもいいから俺らにも見せてくれよ。」
「彼女でしょ?わかってるって、先ずは美桜のとこに挨拶みたいな感じになるかもやけど。」
「あら、優希もう結婚する気満々じゃん。」
「違うけどさ、『お付き合いさせてもらってます。』ってね、言っとかないとさ。」
「そんなもんは後でも大丈夫だ。先ずは彼女の美桜ちゃんか、お前が守らないと悲しませたらだめだからな。」
「うん。」

それは言われなくてもわかってた。自分のことをずっと好きでいてくれたんだから…悲しませるなんて以ての外だ。

「ちなみに美音は彼氏いるのか?」
「知らない。てか、美音は自分のことは全く話さん。わざわざ聞かないけどさ、前に聞こうと思ったらはぐらかされたし…」
「美音はわからずか。」

すると、噂をされてると思ったのか、美音が下りて来た。

「なんか私の噂してなかった?」
「別に、俺のこと散々言っといて上に上がってくとかいい度胸してるよな。」
「お兄ちゃんは何に怒ってるの?私なんかした?」
「美桜のことベラベラ喋ってよ、ほんでことが済んだら上に上がって…自由だなって思っただけ。」
「お前らが喧嘩とか珍しいな。」
「しょっちゅうだよ、発端は全部美音だけどね。」
「私じゃないよ、全部私ってお兄ちゃん酷い。」
「間違ってないだろ。秘密が守れないし、言わなくてもいいことベラベラ話すし…俺にどんだけ迷惑かけたと思ってる?」
「はいはい、喧嘩しないの。喧嘩するんだったら私達がいない時にしなさい、わかった?」
「はーい…」
(俺は正しいことを言っただけなんだけど…いっか。)

その後も優希らはこの1年のことを話した。途中、優希はリビングを離れた、美桜からの電話だ。

「美桜どうした?」
〈優ちゃん久しぶり、ねえ学校終わった?〉
「今日でな、近いうち福岡行くから。」
〈ほんと?1人で来るよね?〉
「勿論だ。親も帰って来たし、家の心配はなくなったからね。」
〈優ちゃんとこ、親帰って来たんだ。近いうち挨拶しないとね、『優ちゃんと付き合ってます。』って。〉
「そうだな。くれぐれも親の前では『優ちゃん』やめろよ?」
〈えーいいじゃん、仲睦まじいカップルって…〉
「俺の身にもなれよ。」
〈癖で言っちゃいそう…〉
「癖ね…ま、そん時は諦めるわ。」
〈ごめんね、それより明日から来れる?〉
「俺はそのつもり。早く会いたいだろ?」
〈うん。優ちゃんに会いたい。〉
「東京から福岡ってどれくらいだろうな…冬休みだから混みそうだよな…」
〈気をつけて来てね?〉
「そのつもりだよ、ならもう福岡行く準備するから。」
〈うん。優ちゃん…〉
「ん?」
〈卒業したら…結婚しよ?〉
「え…」
〈なんちゃって、じゃあ優ちゃん待ってるからね。〉

電話が切れた。最後の台詞は必要だったのか?

(結婚か…なんか咲良にも言ったような気がする…結局咲良とは付き合わなかったけどさ。美桜は俺と結婚する気なんだよな…当然だよな、俺のことずっと好きでいてくれたから。親父の言う通り、悲しませたらだめだよな。よし、卒業したら美桜にプロポーズでもしよかな、『結婚してください。』って…でも、なんか恥ずかしいよな。)

なんて考えながら優希は福岡行く準備をした。
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■筆者メッセージ
長くなりましたが、2学期編終了です。途中、更新しなかったりといっぱいありましたが、ようやく完結しました。さあ、次は冬休み編をお送りします。いろんなイベントありますよね…
クリスマス・大晦日・正月…優希達はどんな冬休み送るんでしょうか?多分、章はそんなに長くはないと思います。多分ですが…とりあえず、2学期編見てくださった方々、ありがとうございました。冬休み編お楽しみに〜。
夜明け前 ( 2017/08/29(火) 14:17 )