美しい桜と音-2学期編-










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第9章
04
その数時間後、美音が帰って来た。美音もやはり車に気づいたようだ。

「パパ!ママ!おかえりー!!」
「美音、また大きくなったな。」
「あらあら相変わらずパパが好きなんだから…早く手洗って来なさい。」
「はーい…」

渋々美音は手を洗いに行った。

「美音ちゃんってお父さんのこと好きなの?」
「ああ。一番可愛がってたからな。」
「そうなんだ。」
「もう帰って来てるなら連絡してよ…パパに会いたかったのに…」
「すまないな。ほんと美音はパパが好きなんだな。」
「うん。お兄ちゃんより好き。」
「優希君フラれたよ。」
「あっさり…って、別にフラれたわけじゃないだろ?」
「優希、美音にちゃんと躾したのか?」
「躾って…親父言い方があるだろ?ちゃんとやったけどさ…」
「お兄ちゃんね、美音には優しくなかったの。私にも構ってくれないし…それに彼女のことしか頭にないの…」
「優希お前…彼女いるのか?」
「いてとうぜ…優希ほんと?」
(あの馬鹿…)

全く予想もしていなかった。美音は普通に優希に彼女がいるのを言ってしまった。別に隠してたわけじゃない、親に言うのは何故か恥ずかしかった。

「早く言えよ、遥ちゃんか?」
「いや遥ちゃんじゃないから…」
「じゃあ誰?」
「誰って…」
「朝長美桜ちゃん。」
(だからなんであいつが…)

優希はこの場から去ろうとしたが、そう簡単に去れるわけがない。

「おい優希どこ行くんだ?彼女の話はなしか?」
「いや…だって…」
「お前の話聞きたいんだよ。美音の話も聞きたいが、彼女がいるならまずお前の話からだ。」
「優希君、ここはもう腹くくって…」
「はぁ…」
(だから美音は嫌なんだよ、確かに可愛い妹だけどさ…余計なこともベラベラ話すから…)

手が焼けるとはまさにこのこと。よう1年やってきたと思う。我ながら…

「俺の彼女の話…ねぇ。まあ…」

優希は赤裸々に美桜のことを話した。親2人は優希の話を真剣に聞いていた。余計なことを言った美音は上に上がって行った。

夜明け前 ( 2017/08/28(月) 17:47 )