第7章
最強の助っ人
「助っ人って…山本先生!?」

そう…優希が呼んだ“最強の助っ人”とは、優希らの社会科担当山本先生だった。優希はこうなることを知って呼んだわけではないが、万が一の保険として山本先生に連絡をしていた。しかし、疑問に思うことが…

「てか、何で山本先生の連絡先知ってんだよ?」
「偶然だよ偶然。」
「偶然だと?どうやったら知れるんだよ…俺に教えてくれよ…」
「そんなこと言われてもなぁ…」
「ほらほらそんなんは置いといて、勉強すんで?うちに聞きたいことあったら聞いてや。」
「先生頼もしい…」
「てことで、先生後は頼みます。」
「ちょっと待てよ優希、どこ行くんだよ?」
「どこって自分の部屋だよ。もうお前らに教えすぎて疲れたんだよ。だから、自分の部屋行って寝る。じゃあ…」
「しけてやんな全く…」
「悠太君、能書きはいいからさっさと勉強しなさい?夕方までに終わらなかったら二学期早々居残りだからね?」
「そんな〜…」
「それは愛佳さんも麻友さんもね?」
「私達も?」
「悠太のせいで…」
「何で俺なんだよ…てか、優希のあの顔クソ腹立つ…」
「頑張れよお三方と美音。」
「お兄ちゃんのバカ〜!」

優希は上に上がり寝た。一方悠太らは必死で取り組んだ。山本先生はなかなかのスパルタだった。

「先生…もう限界…」
「何言うてん…まだ半分も終わってへんやん。休憩なんかないで?愛佳さんらも…」
「私達も?ちょっと休憩…」
「らぶたん頑張ってほら…後ちょっとだから…」
「麻友さんは終わりかしら?」
「もうちょっとです…」
「頑張って。」

美音も悠太らと一緒になって勉強している。こんな真剣に取り組む美音はおそらく初めてだろう…優希はそんなことも知らずに寝ていた。そして…

「ふぁ〜あ…ちょっと寝すぎたかな?」

優希はカーテンを開けた。空はオレンジ色になっていた。

「あいつら終わったのか?」

優希は忍び足で下に下りた。玄関には靴がなかった。どうやら夕方までに終わったみたいだ。

(なーんだ終わったんだ。ちょっとがっかり…ま、ずっと居られても困るけどさ。美音も終わったみたいだし…)

優希はリビングに入った。と…テーブルに置き手紙が…相手は悠太からだった。

‘優希へ
おかげで何とか宿題終わったわ…山本先生結構スパルタだった。休憩なしの勉強って拷問だわ…優希が山本先生呼ばんかったら終わってなかったな。
優希呼ぼかと思ったけど、寝てる邪魔したらあかんと思ったで帰らせてもらうわ。手紙置いとくでまた見といて…今日はありがとな、先生にもお礼言っといて。俺らも言ったけどさ、ほんまありがとな。
悠太’

(へ…あいつが置き手紙とか珍しいな。ん?もう一通…美音か。)

‘お兄ちゃんへ
夏休み終わるまで柊ちゃん家泊まるからよろしくね。
美音’

(あいつ宿題終わったんか?まぁいいや、別に関係ないし…さあて、一人で自由に過ごそかな…)
「疲れた…ん?あれ…この服って…」

椅子にかけてあった服…優希には見覚えがあった。

(まさか…)
「いや〜さっぱりしたわ…ん?優希君起きたんや。」
(やっぱり…)

優希の予感的中…山本先生は帰っていなかったようだ。

夜明け前 ( 2017/10/25(水) 17:59 )