前の姿には戻れない?
家に着くと悠太は大きく深呼吸した。
「大丈夫か?」
「やばい…一気に緊張してきた…」
「大丈夫だって、中入ろ?」
不安な悠太を他所に美桜と優希は先に入った。
「お邪魔しまーす。」
「あれ?優希じゃん久しぶり〜…あ、美桜ちゃんも。あの日以来だね。」
「こんにちは。」
「遊びに来てたんだ。」
「うん。」
「いいなぁ…」
「愛佳もいい人見つかるといいけどな。」
「ほんとは優希がよかったけど…」
「まだ根に持ってたのか?」
「違うよ。あれ…悠太もいたの?」
「久しぶりだね…」
「麻友に会いに来たんだ。」
「ああ…」
「残念だけど麻友出掛けちゃってるよ。」
「そっか…ついてねえな俺…」
「まあまあ落ち込まないで、とりあえず上上がってゆっくりしてきなよ。」
三人は上がらせてもらったが、悠太は益々落ち込んだ。
「悠太朝からこんな感じ?」
「まあな。どっちが悪いんだ?」
「私もまゆゆに聞いたんだけど、全然話してくれないの。それどころか悠太の名前出したら睨んできたし…」
「よっぽど悠太に敏感なんだろうな…」
愛佳と優希はそんな話をしていた。一方美桜は落ち込む悠太を励ましていた。
「悠太君そんなに落ち込まないで、大丈夫だってきっと元に戻るからさ。」
「そうかな…」
「そうだよ。悠太君は悪くないんでしょ?」
「まぁ…うん。」
「なら自身持ってよ。」
「うん…」
悠太は複雑だった。自分は全く身に覚えがないが、じゃあ麻友が悪いかというと麻友も悪くない…だとすると自分なのか?
「はぁ…」
「優ちゃん悠太君益々落ち込んでる。」
「仕方ないだろ、フラれたんだからさ。」
「でも、どっちが悪いかぐらいはっきりしたいよね。」
「それは確かにな。」
「でも私達があまり掘りすぎてもダメでしょ?」
「それはそうだけどさ、ずっと見てるだけもダメだろ?」
「難しいなぁ…」
愛佳・優希・美桜は悩みに悩んだ。いい答えが見つかるといいんだが…と、
「ただいま。」
麻友が帰って来た。
「まゆゆ帰って来たよ。」
「まゆゆって麻友ちゃん?」
「そう。愛佳は麻友のこと『まゆゆ』って呼ぶんだよ。まぁ昔からの仲だから呼べるんだろうけど…ちなみに麻友は愛佳のこと『らぶたん』って呼んでるんだけどな。」
「へぇ…」
「そんなことより悠太どうすんの?」
「俺に聞くかそれ?」
「ただいま…あれ優希君来てたんだ。と…その子は?」
「あ…えっと優希とお付き合いしてる美桜ちゃん。福岡の子だよ。」
「福岡から?初めまして渡辺麻友って言います。みんなからはまゆゆって呼ばれてるよ。」
「初めまして、朝長美桜って言います。優希と付き合ってます。」
「この子が優希君の彼女さんか。可愛いね、優希君羨ましい。」
「ま…まあな。」
優希は笑ったがどこか顔が引きつってた。
(麻友はいつ悠太に気付くんだろうな…)
そのことで頭がいっぱいだった。
「ゆっくりしてってね。」
「あ…ああありがとな。」
「いや〜やっぱ外は暑いね。」
「夏だからね。」
「もう死んじゃうかと思ったよ。ん?」
何かに気付いた麻友、向いてる方向には落ち込んでる悠太の姿が…
「何でいるの?」
トーンが一気に変わった麻友、悠太は顔を上げた。
「麻友…」
「はぁ…何であんたがいるの?言ったよねあの日、もう会わないでって…」
「その件で話がしたいんだよ。」
「嫌よ。あんたとなんか話したくもない、帰って。」
「待てよ麻友、悠太にそんな言い方…」
「優希君には関係ないことでしょ?」
「だけどよ…放って置けないだろ?」
「フン!とにかく帰って、私の前に現れないで!」
麻友は上に上がって行った。明らかに悠太を嫌っていた。
「はぁ…」
「悠太君…」
「こんなに嫌ってるとは思わなかったな。」
「どうしたら…」
「悪りぃな愛佳、俺ら帰るわ。」
「うん。せっかく来てもらったけどごめんね。まゆゆしばらくあんな感じだろうからさ…」
「ああ。帰るか美桜。」
「うん…悠太君も…」
「先帰ってて。」
「え?」
「悠太正気か?」
「これは俺と麻友の問題だ。二人で解決したいんだ、今思えば優希に助けてもらったって何も意味ねえ…俺の問題なんだから…優希と美桜ちゃんは先帰っててくれ。」
「悠太…大丈夫なのか?」
「ああ…優希心配してくれてありがとう。俺…頑張るから!」
「わかった。男に二言はないからな、なら先帰るか美桜。」
「うん。愛佳ちゃんまたね。」
「うん。二人ともありがとう。」
優希と美桜は先に帰った。それを上から麻友は見ていた。