03
楽屋の前に到着すると、彩をドアの前で待っといてと言い、真人は楽屋に入った。が、菜々の姿がない。あれほど忠告したはずなのに…いったいどこへ?
「あいつどこ行った?」
「遅いよ…」
なんと菜々はロッカーから出てきたのだ。
「びっくりしたな…」
「暇だったから、真人が来たら脅かそうと思って…」
「それより悪いが、またロッカーにいてくれ。」
「えー…駆使して入ったのにまた入るの?」
「お客が来たんだよ。」
「誰?」
「彩さん。」
「彩ってさや姉?えっじゃあ真人の担当するメンバーってさや姉?」
「そう。」
「まさかさや姉を?」
「早くしねえと彩さん入って来るから。」
「わかったから。でもさや姉うちがいるの知らないよね?」
「当たり前だろ?とにかく早く中に入れよ。」
「いいときになったら言ってよ?」
「わかったわかった。」
菜々はまたロッカーの中に…そして彩を楽屋に入れた。
「結構片付け時間かかったんですね…」
「まあ…」
「真人さんって他の人のマネージャーとかしたことあるんですか?」
「初めてですよ。」
「そうなんだ。あの…わざわざ敬語とか堅っ苦しいんでいいですよ。」
「わかりました。」
何気ない会話で時間が過ぎていく。一方の菜々は…
(いつまでここにおればいいの?暑いし…)
出たくても出れず、暑さを凌いでいた。
「真人さん…」
「何でしょう?」
「真人さんって童貞ですか?」
「へっ!?」
真人は目を丸くした。
(何なんだこの人…ちょっと只者じゃないかもな…)