だけど、君が大好きで──
03
それから飛鳥とはほぼ毎日のように海辺のあの防波堤で会った。まるで僕を待っているんじゃないか、そんな風に思うほどに。

そして笑いながら、時には切ない表情を僕に見せながら、想い人のことを語る。

正直僕からしてみれば、楽しい話でも面白い話でもない。でも楽しそうに話す飛鳥に合わせるように居るしかなかった。

僕の毎日の目的が飛鳥に会うことにすり替えられていた。もちろん大事なのは補講だ。

だけど日に日に補講の中の小テストの点数が悪くなっていく。別に勉強が上手くいってないわけじゃない。

気持ちが勉強に向かないだけなのだ。違う方向に行ってしまう。

気づけば僕は一日中、君のことを考えてしまっていた。


ある日の帰り道。この日もいつもの様に上手くいかず、先生に注意をくらった。でも先生の言葉のどれも響いてはこなかった。

そんな僕に照りつける太陽は一段と暑い。日に日に暑さが増しているんじゃないか。

あまりの暑さにやられそうになった僕は、近くのコンビニでチューブアイスを買った。二本入りのやつだ。

海辺に近く付くと、そこに君は居た。珍しく制服姿で。

「え、何食べてんの?」

『アイス』

僕がアイスと答えると、飛鳥は僕が左手に持っていたもう一本の方をさくっと奪っていく。

『何するのさ』

「私も食べる〜」

そう言って笑いながらそのアイスを口にした、いつものような意地悪そうなその表情で。

二人並んでアイスを口にする。ちょっぴり体が冷えたような気がするが、食べ終われば直ぐに元通り。

『なんで今日は制服?』

「学校に用があったんだ。ま、すぐ終わったけど」

僕は『そっか』と言って、会話がそこで途切れた。

またあの波音が二人の間を支配する。でも飛鳥が何かを言おうとしている、そんなふうに僕の第六感が働いた。

そしてその第六感は正解だったみたいで、飛鳥はゆっくりと立ち上がった。

「明日、告白しようと思う」

無言から出た言葉はそれだった。

神妙な面持ちの飛鳥。横顔がなんとも言えず、悲しそうにも見えた。

「〇〇だけには言っておこうかなって」

『そっか』

僕はこんなことしか言えなかった。
ましてや僕が変なことを言えたたちじゃないだろう。

彼女の真剣な眼差しは水平線の向こうをじっと進んでいた。
まるで僕の視線との交わりを遠ざけていくように。

僕はまた唾を飲み込んで、

『僕はずっと応援してるからね』

そう、優しい言葉を言った。

僕の心とは裏腹に。


Tone/とーん ( 2020/03/16(月) 00:38 )